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知っておきたい特別支援学級!基準、種類、そして通常学級との違い

author:dekkun
知っておきたい特別支援学級!基準、種類、そして通常学級との違いと記載されたイラスト

子どもたち一人ひとりが持つ無限の可能性を最大限に引き出すためには、それぞれに合った教育環境の提供が不可欠です。特に、学習や生活において特別な支援を必要とする子どもたちにとって、特別支援学級はそのキーとなる場所です。しかし、多くの保護者にとって、「特別支援学級」という言葉は聞き慣れないものかもしれません。また、「我が子は特別支援学級に該当するのか?」「通常の学級とはどう違うのか?」といった疑問を持つ方も少なくありません。このコラムでは、特別支援学級の入る基準、種類、通常の学級との違い、そして将来の進路について解説します。子どもたち一人ひとりに最適な教育を提供するための第一歩として、この情報が役立つことを願っています。

特別支援学級って何?

夫婦で❓マーク

特別支援学級とは、学びや生活にちょっと手助けが必要な子どもたちのためにある、少人数制のクラスのこと。小学校や中学校に設けられていて、子どもたち一人ひとりのニーズに合わせた特別なサポートを提供しています。

このクラスでは、自立を目指した活動や様々な教科の学習を通じて、子どもたちが直面する困難を乗り越える手助けをしています。では、特別支援学級ってどんなところなのでしょう?どんなサポートがあるのか、一緒に見ていきましょう。

特別支援学級のクラス分け

特別支援学級は、子どもたちの障害の種類に応じてクラス分けされています。普通のクラスが同じ学年の子どもたちで構成されているのに対し、特別支援学級では異なる学年の子どもたちが一緒に学んでいることもあります。

教育プログラムについて

特別支援学級の教育プログラムは、子どもたちの心と体の成長に合わせて、学びを全面的に組み立てたものです。通常の学級では学習指導要領に沿ってプログラムが組まれますが、特別支援学級では「特別の教育プログラム」を組むことが認められています。これには、自立活動の取り入れや、必要に応じて教科の目標を調整することが含まれます。

学びの中身

特別支援学級では、子どもたちの個別のニーズに合わせた学びが行われます。たとえば、「自立活動」というプログラムでは、健康管理や人間関係の形成、コミュニケーションスキルなど、生活に必要な様々なスキルを学びます。子どもたちが自分の気持ちを上手に伝えられるようになるための練習も含まれています。

さらに、特別支援学級の子どもたちと通常のクラスの子どもたちが一緒に活動する「交流及び共同学習」も行われており、互いに支え合いながら生きることの大切さを学びます。

このように、特別支援学級ではただ教科書を学ぶだけでなく、自立に向けたトレーニングや遊び、他の子どもたちとの交流を通して、豊かな学びを経験します。

通常学級とは?特別支援学級との違い

通常学級というのは、学校で一般的に多くの子どもたちが通うクラスです。ここでは、1クラスあたり35人以下の生徒で構成されていることが一般的です。この通常学級では、クラスのみんなと一緒に、すべての教科を同じ内容で学びます。つまり、数学も国語も理科も、同じ先生から、同じクラスメイトと一緒に授業を受けるというわけです。
ただし、通常学級にいても、特定の支援が必要な子どもたちがいます。たとえば、学習や社会性の面で個別のサポートが必要な子どもたちです。そんな時、教室には加配教員や特別支援教育支援員がサポートに入ることがあります。これらのサポートは、発達障害がある子どもや、一人で授業内容を理解するのが難しい子どもたちが、通常学級でも快適に学べるようにするためのものです。このようなサポート体制のおかげで、通常学級にいながらも、必要な子には個別の支援を提供することが可能になります。これは特別支援学級との大きな違いの一つで、特別支援学級ではもっと小人数で、さらに個別化された学習内容や方法が採用されることが一般的です。
つまり、通常学級は一般教育の枠組みの中で多くの子どもたちが学ぶ場所であり、加配や個別のサポートを通じて、さまざまなニーズにも対応しようとしているのです。

特別支援学級の種類って?

挙手する子どもたち

特別支援学級には、子どもたちが直面する様々な課題に応じて、7つの異なるタイプがあります。これには弱視、難聴、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、そして自閉症・情緒障害が含まれます。ただ、すべての学校でこれら全てのタイプがあるわけではないので、お子さんに合った支援がどの学校にあるかを確認することが重要です。希望するクラスがない場合は、特別な手続きを経て設置を求めることも可能ですよ。

特別支援学級に入る基準って何?

特別支援学級に入学するかどうかは、障害の種類や程度、お子さんが必要とする支援の内容、地域の教育体制など、いくつかの要素を考慮して決定されます。例えば、自閉症や情緒障害のあるお子さんは、人とのコミュニケーションが難しい場合や、心理的な要因で社会生活に適応するのが難しい場合が該当します。知的障害のあるお子さんの場合は、知的発達が遅れていて、日常生活や社会生活に一部支援が必要な場合が対象になります。

入学までの流れ

特別支援学級への入学は、お子さんや保護者の意向を尊重しながら、就学相談を通じて地域の就学支援委員会が総合的に判断します。そして、最終的に教育委員会から入学の決定通知が出されます。お子さんに合った学びの場を選ぶことが大切ですし、進路を選ぶ際には、指導内容や教育課程も考慮する必要があります。

進路を選ぶポイント

お子さんの将来のために、最適な学びの環境を選ぶことはとても大切です。どの特別支援学級がお子さんに合っているか、また、どのようなサポートが必要かを考える際には、これから紹介するポイントが参考になるでしょう。

特別支援学級から通常学級への転学は可能?

特別支援学級に入学したからといって、ずっと同じクラスで学ぶ必要はありません。子どもの成長やニーズに応じて、通常の学級(普通級)への転学も、その逆も可能です。子どもたちの学びの場は固定されたものではなく、柔軟に選ぶことができるんですよ。

もし転学を考えているなら、まずは担任の先生や特別支援教育のコーディネーターに相談してみましょう。学校側は、保護者や子どもの意向をしっかりと聞いた上で、市町村教育委員会と相談しながら最適な道を決定します。

学びの場を選ぶポイント

子どもにとって最良の学びの環境を選ぶためには、以下の4つのステップを踏んでみましょう。

子どもの現状を整理する

子どもの得意なこと、苦手なこと、必要な支援や配慮を整理してみましょう。大人数のクラスが刺激的なのか、それとも少人数の特別支援学級が落ち着くのか、子どもにとってのベストを考えてみてください。

進路先の情報を収集する

住んでいる地域にどんな支援があるのかを調べてみましょう。自治体のホームページや他の保護者の話から情報を集めると良いでしょう。

学校や学級の見学

実際に学校や学級を訪れて、雰囲気や学習の進め方、サポートの具体的な内容などを確認してみましょう。

子どもが学びやすい環境を選ぶ

見学した情報と、子どもの状況を照らし合わせて、最も適した学びの場を選びましょう。

特別支援学級と通常学級の選択は、子ども一人ひとりのニーズに合わせて柔軟に考えることが大切です。子どもが安心して学び、成長できる環境を一緒に見つけていきましょう。

障害のある子どもたちのための支援サービス

サポート内容と記載されたイラスト

障害を持つ子どもたちが学校で充実した学びを得るためには、特別支援学級だけでなく、他にも様々な支援が用意されています。ここでは、その中からいくつかのサポートを紹介します。

通級指導教室

通級指導教室は、特定の障害に応じたサポートを必要とする生徒のために設けられています。ここでは、通常の授業に加えて、子どもの障害に合わせた特別な指導を受けることができます。対象となる障害には、弱視、難聴、肢体不自由、病弱者・身体虚弱、言語障害、情緒障害、自閉症、学習障害、注意欠陥多動症が含まれます。ただし、知的障害はこのリストには含まれていません。

特別支援学校

特別支援学校では、障害のある子どもたちが自立に必要な知識や技能を学びます。これは、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由または病弱な子どもたちを対象としており、幼稚園から高校に相当する教育を提供しています。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、学齢期の子どもたち(原則6歳〜18歳)が放課後や休日に利用できるサービスです。ここでは、子どもたちが自立した日常生活を送れるように、様々なトレーニングや創作活動を行います。このサービスは、子どもがどの学級に在籍しているかに関わらず利用可能です。

これらの支援は、障害を持つ子どもたちが学校で学び、成長していくための大切な手段となります。それぞれの子どもの状況に合わせて、最適なサポートを受けることができるようになっています。

特別支援学級を卒業した後の進路について

特別支援学級での学びを終えた後、どんな進路が考えられるか気になるご家庭も多いのではないでしょうか。子どもたちの未来に向けた選択肢は、幅広く用意されています。

小学校卒業後の進路

中学校で特別支援学級を続ける

学びの環境を変えずに、引き続き特別な支援を受けながら中学校生活を送る選択です。

中学校の通常級へ移る

子どもの成長やニーズに応じて、通常級での学習を選ぶことも可能です。

特別支援学校へ入学する

より専門的な支援が必要な場合に考慮される選択肢です。

高校教育について

高校には特別支援学級が設置されていないことが多く、義務教育ではないため、入学には試験が伴います。しかし、中学校卒業後の進路は多岐にわたります。

高校に進学する

公立や私立の高校(全日制、定時制、通信制、単位制など)で、普通科や専門科など様々な学科が選択できます。

サポート校や技能連携校に進学する

個々のニーズに合わせた教育を提供する学校で、特定の技能や職業訓練を受けることができます。

専修学校に進学する

専門的な職業教育を受けたい場合の選択肢です。

特別支援学校の高等部へ進学する

継続して特別な支援が必要な場合に選ばれる道です。

就職する

学業を終えて、直接職業に就く道もあります。

文部科学省の調査によると、公立中学の特別支援学級卒業生の約55%が高校へ、約40%が特別支援学校へ進学し、残りの5%が就職などその他の進路を選んでいます。

特別支援学級の卒業後の進路は、子どもたちの興味や能力、さらには将来の目標に合わせて多様な選択が可能です。大切なのは、子ども一人ひとりに合った進路を見つけ、支えていくことです。

子どもの進路選択、自治体ごとの支援サービスを理解する

障害のある子どもの進路を考える際、住んでいる自治体が提供する教育サービスの選択肢をしっかり把握することが重要です。ここでは、情報収集のポイントを小見出しを用いてわかりやすく説明します。

地域による教育サービスの違い

特別支援学級の有無

自治体によっては、近隣の学校に特別支援学級が設けられていないか、定員オーバーで入学できない場合があります。

通級指導教室の利用

学校によって提供される通級指導教室の種類や数が異なります。対象となる障害の種類にも注意が必要です。

進路情報の収集方法

先輩保護者からの情報収集

実際に特別支援教育を受けている子どもの保護者に話を聞くことで、学校生活のリアルな情報を得られます。

学校公開や見学

学校を直接訪問し、教育環境や学級の様子を自分の目で確認しましょう。

自治体の教育委員会への相談

特別支援学級や通級指導教室の対象障害、学区を越えた通学の可能性について、教育委員会に相談すると良いでしょう。

学区を超えた通学の選択

学区内だけでなく、より条件に合った教育環境を求めて、学区を超えた通学も検討する価値があります。

自治体や学校から提供される情報を基に、子どもにとって最適な教育環境を見つけ出すためには、幅広い視野での情報収集と検討が必要です。

特別支援学級での親の付き添いについて

特別支援学級を選択する際には、親の送迎や授業中の付き添いがどのように取り扱われるかを事前に確認することが大切です。

送迎の必要性

学校によっては、全生徒が集団で登校することが求められる場合があります。しかし、特別支援学級の子どもたちの中には、親の付き添いが必要、または車での送迎が必要とされるケースも存在します。

授業中の付き添い

母子分離の課題

特に小さな子どもや特定の支援が必要な子どもの場合、親との分離が難しいことがあり、授業中に教室の後ろで見守る必要があることもあります。

学校側の方針

送迎や授業中の付き添いが認められるかは、学校の方針によります。希望しても認められない場合がある一方で、学校から積極的に付き添いを求められる場合もあります。

確認事項

学校を見学する際は、親の負担になる可能性のある事項についてもしっかりと確認しておきましょう。これには送迎の要否や授業中の付き添いの可能性が含まれます。

自治体や学校によって支援の形態や考え方が異なるため、特別支援学級を選ぶ際には、これらの点を詳しく調べ、理解することが親にとっても子どもにとっても重要です。親としてできる限りのサポートを提供しつつ、子どもが学校生活を安心して送れるように準備しましょう。

子どもの最適な学習環境を見つけるための相談と整理

子どもが特別支援学級か通常学級かで迷った時、子どもの障害や特性、現在の状況をじっくり理解し、必要なサポートを検討することが大切です。どのような環境やサポートが子どもにとって学びや生活をしやすくするかを考えましょう。

子どもに適した環境を考える

学びやすい環境

少人数で手厚いサポートが必要か、それとも多くの子どもたちと一緒に活動することで良い刺激を受けるかを検討します。

コミュニケーションの機会

特性によっては、通常学級での多様なコミュニケーションがプラスに働くこともあります。

専門家や周囲の人と相談する

今通っている幼稚園・保育園や療育施設の職員に、子どもの日常的な様子や特性について話を聞いてみましょう。実際の子どもの行動や反応から、どのようなサポートが有効かのヒントを得られるかもしれません。

様々な意見を取り入れる

親の視点だけでなく、専門家や他の保護者の意見も参考にすることが大切です。子どもにとってベストな選択肢を見つけるには、多角的な視点からの意見を集め、検討することが有効です。

子どもにとって最適な学習環境を見つけるには、子ども自身の特性とニーズを深く理解し、それに合わせたサポートを提供できる環境を選ぶことが重要です。その過程で、専門家や現場の職員、他の保護者の意見も積極的に取り入れ、子どもに合った環境選びをしていきましょう。

まとめ

特別支援学級について理解を深めることは、すべての子どもたちがそれぞれの能力に応じた教育を受けるための大切なステップです。本コラムを通して、特別支援学級の基準、種類、通常の学級との違い、そして子どもたちの将来の進路についての概要をご紹介しました。特別支援が必要な子どもたちにとって、適切な教育環境はその成長と発達において欠かせないものです。保護者の皆様がこの情報をもとに、子どもたち一人ひとりに合った教育の道を探求し、支援することが、子どもたちの豊かな未来への大きな一歩となります。子どもたちが各自の個性を生かし、それぞれの夢に向かって進んでいけるよう、引き続き支えていくことが私たちの願いです。

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