
医療の進歩により、障害者への支援と治療のアプローチも進化しています。育成医療が早期の支援に焦点を当てるのに対し、更生医療は除去や軽減が可能な障害の治療に重点を置いています。しかしながら、高額な治療費や長期にわたる治療の負担は、患者やその家族にとって大きな課題です。更生医療制度は、こうした負担を軽減し、治療による改善を促すための支援を提供しています。本コラムでは、更生医療制度の重要性とそのメリットについて探ってみたいと思います。
更生医療は18歳以上の身体障害者が対象
更生医療は、身体障害のある18歳以上の人々を対象とした制度です。この制度は、障害を除去または軽減できる治療法が存在するにもかかわらず、高額な治療費や長期にわたる治療の負担が大きいため、治療を諦めてしまう人々の負担を軽減することを目的としています。
対象となる条件と手続き
育成医療は18歳までの人々が対象でしたが、更生医療では18歳以上である必要があります。また、更生医療の対象は身体障害者に限られます。身体障害者とは、身体障害者福祉法の第4条で定義されています。身体障害者手帳の交付を受けることが身体障害者と認められる条件となっています。身体障害者手帳の申請は、市町村の窓口で行い、審査を経て交付されます。したがって、更生医療を利用するためには、事前に身体障害者手帳の申請が必要です。
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更生医療の対象となる疾病
更生医療の対象となる疾病について説明します。
更生医療は身体障害者を対象としており、障害の種別は身体障害である必要があります。また、その障害は持続的なものでなければなりません。なぜなら、除去や軽減が可能な障害であることが治療の対象となるからです。
具体的な例としては、視覚障害として白内障や網膜剥離、聴覚障害として外耳性難聴などがあります。言語機能障害の場合、手術による泉吸歴閉鎖機能不全の治療や歯列無正による改善が期待できる場合には、歯列正も対象となることがあります。また、内部障害としては、先天性心臓疾患や肝機能障害、HIVによる免疫機能障害も更生医療の対象となります。
更生医療の支給対象となる医療内容には、診察、薬剤、治療材料、医学的処置、手術、入院における看護などが含まれます。ただし、確実な効果が期待できる医療に限定されます。例えば、白内障の場合は水晶体摘出手術や、HIVによる免疫機能障害の場合は抗HIV療法が支給される可能性があります。
支給認定の手続き
更生医療を受けるためには、以下の手続きが必要です。
市町村への申請
更生医療を利用するためには、まず市町村に申請を行う必要があります。申請書を提出する方法によって申請を行います。
判定依頼
市町村は申請を受理すると、身体障害者更生相談所に判定依頼をします。身体障害者更生相談所は、医療の具体的な見通しや障害の程度などを考慮し、申請内容の妥当性や給付の必要性を審査します。
判定結果の通知
身体障害者更生相談所が判定を行った後、その結果を市町村に通知します。市町村は、この判定をもとに支給認定を行います。
以上の手続きを経て、更生医療の支給認定がなされます。申請者は、市町村からの通知に基づいて、支給される医療サービスを利用することができます。
更生医療の対象となる障害と治療例について
対象になる身体障害 | 具体的な治療例など |
---|---|
視覚障害 | 水晶体摘出手術、網膜剥離手術、虹彩切除術、角膜移植術など |
聴覚障害 | 鼓膜穿孔閉鎖術、外耳形成術 |
言語障害 | 歯科矯正など |
肢体不自由 | 関節形成術、人工関節置換術など |
内部障害など | 心臓:弁口・心室心房中隔に対する手術など 腎臓:人工透析療法、腎臓移植術など 肝臓:肝臓移植術など 小腸:中心静脈栄養法 |
まとめ
更生医療制度は、治療の負担を軽減し、患者の生活の質を向上させるための重要な支援制度です。障害を除去または軽減できる治療法に対する負担を軽減し、患者が治療を断念することなく適切な医療を受けることができるようにします。更生医療制度の普及と充実により、より包括的な医療制度が構築され、障害者の健康と福祉が促進されることを期待しています。
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