児童福祉施設は、子どもたちの安全と幸福を守る場所として社会に重要な存在です。しかし、時折、施設職員等による児童への虐待が発覚することがあります。虐待を受ける子どもたちが被害を訴えることは難しく、第三者の目に触れない場合も多いため、虐待を発見した者が速やかに通告・通報することが大切です。本コラムでは、児童福祉施設で虐待が発覚した際の通告先や受理後の対応について、わかりやすく解説します。また、通告した者の利益が守られる点にも触れ、虐待を報告する重要性とその保護について考察します。
児童福祉施設で被措置児童に対する虐待が発覚した場合の通報先
児童福祉施設で被措置児童に対する虐待が発覚した場合の通告先について説明します。
児童福祉施設(障害児入所施設も含む)で、施設職員などが被措置児童に対して虐待をしていることがわかった場合、児童福祉法が適用されます。児童虐待防止法では、保護者による虐待を禁止していますが、施設で保護されている児童が職員により虐待を受ける場合は、これまで対象外でした。しかし、児童福祉施設での虐待を防止するために、児童福祉法が改正されたのです。
虐待児童を発見したら
虐待を受けたと思われる児童を見つけた場合は、速やかに通告しなければなりません。通告先は、都道府県の福祉事務所、児童相談所、市区町村の児童養護施設担当窓口、都道府県児童福祉審議会、市区町村の児童福祉担当窓口です。児童本人からも虐待の届出ができます。
施設職員等とは、小規模住居型児童養育事業に従事する者、里親またはその同居人、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設の職員や管理者、指定発達支援医療機関の従業員、一時保護所のある児童相談所の所長、一時保護所の職員などが含まれます。これらの職員は児童虐待防止法と児童福祉法の両方が適用される重要な立場にあります。
受理後の流れ
受理後の流れについて説明します。
都道府県福祉事務所等で通告・届出を受けると、都道府県は児童福祉審議会に報告し、適宜適切な対応を行います。具体的には、担当部署が虐待の有無を確認するための事実確認や訪問調査を行います。必要に応じて、報告徴収や立ち入り調査、改善勧告などを行います。調査の過程で、児童を一時的に保護する必要がある場合や児童に対する支援が必要な場合は、児童相談所が適切な対応を行います。
通告した者の利益は守られている
通告した者の利益についても重要な点です。
虐待を受けたと思われる児童を見つけた者は、速やかに児童相談所に通告する義務があります。特に、弁護士は児童福祉施設の第三者委員などの立場で、児童から相談を受ける機会が多いため、虐待を受けたと思われる場合には、積極的に速やかに通告する必要があります。
都道府県等の職員は職務上知り得た通告・届出に関する情報を秘密として守る義務があります。通告・届出をした者の個人情報を特定させないよう注意しなければならず、刑法上の秘密漏示罪には該当しません。また、施設職員については、通告したことで解雇や不利益な取扱いを受けないよう保護されています。つまり、通告した者は法的に守られており、虐待を報告することで不利益を受けることはありません。
相談までの流れ
相談先
- ・都道府県の福祉事務所、見査相談所、通告などに係る事実について確認するための措置を講ずる権限を有する都
相談先 - 道府県の行政機関(市区町村の児童養護施設の担当窓ロ)
- 都道府県児査福祉審議会
- 市区町村の児童福祉担当窓口
相談方法
電話、口頭、書面などの方法による
関連法令等
児福7・33の10~33の17
相談先 | ・都道府県の福祉事務所、見査相談所、通告などに係る事実について確認するための措置を講ずる権限を有する都 相談先 ・道府県の行政機関(市区町村の児童養護施設の担当窓ロ) ・都道府県児査福祉審議会 ・市区町村の児童福祉担当窓口 |
相談方法 | 電話、口頭、書面などの方法による |
関連法令等 | 児福7・33の10~33の17 |
まとめ
児童福祉施設での虐待は決して許されるものではありません。虐待を発見した者は、児童の安全と幸福を守るために、速やかに児童相談所に通告する責任があります。また、通告した者の個人情報が守られ、不利益を受けないことも法律で保護されています。児童福祉施設には、子どもたちが安心して成長できる環境を提供するための取り組みが求められています。虐待をなくし、子どもたちの未来を守るため、私たち一人ひとりの力が必要です。