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【子どものためのADHD診断チェックリスト】見落とされがちなサインを見逃さないために

author:dekkun
【子どものためのADHD診断チェックリスト】見落とされがちなサインを見逃さないためにと記載されたイラスト

子どもの行動がいつもと違う…もしかしてADHD?」親御さんが抱えるこの疑問を解決するため、子育てウェブサイトではADHD(注意欠陥・多動性障害)に関する基本情報と、診断に向けた簡易チェックリストを提供します。このガイドを通して、子どもの行動の背後にある可能性を理解し、必要な支援への一歩を踏み出しましょう。

子育ての悩み解決!ADHD診断チェックリスト:子どもの行動を理解しよう

お子さんの行動について心配されているご両親へ。こちらでは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断基準となるチェックリストをわかりやすく解説します。DSM-5(精神疾患の診断と統計のマニュアル)に基づいたこのチェックリストを使って、お子さんの行動について理解を深めましょう。

【共通事項のチェック】

  1. 6カ月以上続く症状
  2. 発達水準に比べて著しい行動の特徴
  3. 家庭や学校など複数の環境で症状が見られる
  4. 12歳前に症状が始まる
  5. 日常生活や学校生活に支障をきたす

【共通事項のチェック】の各項目について、詳しく解説します。

6カ月以上続く症状

ADHDの特徴は一時的なものではなく、長期間にわたって続きます。6カ月以上同じ行動パターンが続く場合、ADHDの可能性が高まります。

具体例
子どもが半年以上、毎日のように宿題に集中できず、頻繁に物を忘れるような場合。一時的な集中力の欠如ではなく、長期間続く継続的な行動パターンが問題の兆候です。

発達水準に比べて著しい行動の特徴

子どもの年齢や発達段階において通常期待される行動と比べて、特に目立つ行動の違いがあるかどうかを見ます。例えば、同年代の子よりも集中力が著しく低い、過剰な活動レベルを示すなどです。

具体例
同じ年齢の子どもが45分間集中して活動できるのに対し、お子さんは10分も続かず、頻繁に立ち歩く。このように、同年代の子と比べて顕著な差がある行動は、注意を要するサインです。

家庭や学校など複数の環境で症状が見られる

ADHDの症状は特定の環境だけでなく、家庭、学校、友達との遊びなど、異なる環境で一貫して見られる必要があります。これにより、特定の環境の影響だけではないことが分かります。

具体例
家庭ではゲームに集中できない、学校では授業中にしばしば席を離れる。異なる環境で同じような行動パターンが見られる場合、環境特有の問題ではなく、より広範な注意が必要です。

12歳前に症状が始まる

ADHDの症状は通常、早期に現れます。12歳前に症状が観察されることは、ADHD診断の重要な指標となります。これは、症状が発達の早い段階から存在することを示します。

具体例
9歳の時に教師から「授業中に集中できない」「友達と衝突が多い」と指摘された場合。早期の年齢での症状は、ADHDの典型的な特徴となります。

日常生活や学校生活に支障をきたす

ADHDの症状は、子どもの学校での学習能力、友達との関係、家庭生活など、日常の様々な面に影響を及ぼします。この項目では、これらの症状が子どもの日常生活や学業にどの程度影響を与えているかを評価します。

具体例
学校の成績が悪化したり、友達とのトラブルが頻繁に起こる。これらの症状が子どもの学業や社会的関係に大きな影響を及ぼしている場合、ADHDの可能性が高まります。

これらの基準を踏まえ、お子さんの行動を観察し、心配な点があれば専門家への相談をお勧めします。早期発見と適切なサポートが、お子さんの可能性を広げる鍵となります。

【不注意症状のチェック】

ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断には、不注意症状を理解することが重要です。以下に、DSM-5に基づく不注意症状の詳細な解説をご紹介します。

細部に注意を払わない、ケアレスミスが多い

お子さんが細かい作業に集中できず、細部のミスが頻繁に見られる場合。宿題の計算ミスや、指示を正確に理解しないことが典型的です。

具体例
学校の課題や家庭の日常生活でのミスが多い。例えば、簡単な計算ミスや、家の鍵を忘れる、服装の不一致など。

注意を維持するのが困難

学校や家庭での課題に長く集中することが難しい。例えば、授業中にすぐに他のことに気が散るなど。

具体例
授業や読書など、集中を要する活動に対して持続することが難しい。簡単に他のことに気を取られる。

話を聞いているように見えない

大人が話しているとき、他のことに気を取られているように見える。指示を聞き逃したり、話の流れを追いきれないことがあります。

具体例
他人が話している際に、集中して聞いているように見えず、応答がない、または話の内容を理解していない。

指示に従わない、課題を完了しない

与えられた指示やタスクを完了するのが難しく、途中で放棄してしまうことがあります。

具体例
親や教師からの指示を最後まで守らず、途中で放棄する。始めた活動を完了するのが難しい。

課題の順序立てが困難

課題を段階的にこなすことが難しく、計画性が欠ける傾向があります。

具体例
与えられた複数の課題に対して、どこから手をつけてよいかわからない。計画性や順序立てる能力に欠ける。

長時間の集中が要求される課題を避ける

注意力が必要な活動を敬遠し、簡単な作業や即時の報酬がある活動を好む傾向があります。

具体例
集中力が必要な読書や継続的な作業を避ける傾向。興味のない課題に取り組むことが特に難しい。

学校の課題や活動に必要な物を失くす

学校のノートやペンなど、日常的に使う物品を頻繁に失くします。

具体例
学校で必要な文房具や書籍を頻繁に失くす。日常的に使う物品の管理が難しい。

容易に注意をそらされる

周囲の刺激(音や動き)に注意が容易にそらされ、集中を続けることが難しい。

具体例
周囲の音、動き、視覚的な刺激によって容易に注意がそらされる。外部の刺激に敏感。

日常的に物忘れが多い

日常生活での約束や計画を忘れることが多く、注意を要するタスクを忘れやすいです。

具体例
学校や家庭の約束事を忘れる、課題の期限を守れないなど、日常的な忘れ物が頻繁。

【多動性・衝動性症状のチェック】

ADHDの診断には、多動性・衝動性症状の確認が不可欠です。以下にそれぞれの症状の特徴と具体例を挙げ、理解を深めましょう。

手足を動かしたり、身体をよじったりする

授業中や食事時など、静かに座っていることが難しい。足をバタバタさせたり、椅子に座りながら体をよじったりする。

具体例
授業中に足をバタバタさせる、椅子に座りながら常に動いている。

座っているのが困難

必要な時にもじっと座っていることができない。例えば、学校の授業中に席を離れてしまうことが多い。

具体例
長時間座っていることができず、授業中や食事中に頻繁に立ち上がる。

走り回ったり、高い所に登ったりする

屋内外を問わず、走り回る、物に登るなど活発な行動が目立つ。

具体例
家の中で走り回る、遊び場で危険な高さに登る。

静かに遊ぶのが困難

静かに一人で遊ぶことが難しい。常に動いているか、騒がしい遊びを好む。

具体例
ひとりでじっと遊ぶことができず、常に動き回る遊びを好む。

じっとしていられない、常に動いている

まるでエンジンに動かされているかのように、常に動いている。静かにしていることがほとんどない。

具体例
落ち着いてテレビを見ることができず、部屋の中をウロウロする。

おしゃべりが多い

会話が多く、しばしば他人の話を遮る。自分の言いたいことを伝えるために、他人の話を聞かずに話し始めることがある。

具体例
他人の話を遮り、自分の話を続ける。集団での会話において、自分の番を待てずに話し始める。

質問が終わる前に答える

質問の全てを聞く前に、急いで答えを口にする。

具体例
先生が質問を終える前に答えを言い始める。

順番を待てない

例えば遊びや行列で自分の順番を待つことができず、割り込んだりする。

具体例
遊具の順番を待てずに割り込む、ゲームで自分の番を待たずに行動する。

他人の活動を邪魔する

他人の会話や遊びに勝手に割り込む、他人の活動を中断させる。

具体例
他の子どもたちの遊びに無断で参加する、他人の話を中断して自分の話題に変える。

【評価と診断】

不注意優勢型、多動性・衝動性優勢型、混合型の3タイプがあります。それぞれのタイプには、特定の症状群が6つ以上ある必要があります。ご両親はこのチェックリストを参考にし、お子さんの行動を観察してみましょう。ただし、正確な診断には専門家の判断が必要ですので、気になる点があれば専門医に相談してください。

ADHD診断の理解と注意点、子育てに役立つ基準の補足解説

ADHD診断に関する補足説明を、子育てに役立てるためのポイントとしてご紹介します。

【ADHD診断の出発点: 共通事項のチェック】

ADHD診断の第一歩は、DSM-5の「共通事項」に全て当てはまるかどうかを確認することです。たとえば、家庭ではADHDの傾向が顕著でも、学校では目立たない場合は、ADHDの診断基準には当てはまりません。また、6か月以上の行動持続期間も重要なポイントです。

【子どもの行動:意図的な問題行動と発達障害の特性】

子どもは環境の変化やストレスに反応し、時に意図的な「問題行動」を起こすことがあります。この行動は通常、一時的な心の寂しさを埋めるためのもので、長く続くことはめったにありません。

【DSM-5の診断基準:継続性と一貫性の確認】

DSM-5の診断基準では、子どもの行動が「2つ以上の場所で見られること」と「6か月以上続いていること」を重視します。この基準は、一時的な問題行動とADHDの特性を区別するために重要です。

『DSM-5』は、アメリカ精神医学会が発行する「精神疾患の診断・統計マニュアル」の第5版です。これは、心の病気…
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まとめ

ADHDの早期診断と適切な対応は、お子さんの成長と発達に大きな影響を与えます。このウェブサイトの情報を活用し、子どもの特性を理解し、家庭でのサポート方法を見つけてください。親子でのコミュニケーションを深めながら、子どもが自分らしく成長できる環境を整えましょう。あなたの子育てライフに役立つ情報がここにあります。

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