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発達障害のサポートに役立つ、SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?

author:dekkun
発達障害のサポートに役立つ、SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?と記載されたイラスト

子どもの発達にお悩みの方へ。SST(ソーシャルスキルトレーニング)は、発達障害を持つ子どもたちの社会的なスキルを育むためのプログラムです。このコラムでは、具体的な例や教材を交えながら、SSTがどのように役立つのか、そして発達障害との関わりについて解説していきます。一緒に明るい未来を築くための手助けをしましょう。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは何ですか?

リハビリの専門職を示すイラスト

SST(ソーシャルスキルトレーニング)は、発達障害を持つ子どもたちが社会的な関係構築やコミュニケーションスキルを向上させるためのトレーニングプログラムです。SSTは、ソーシャルスキルの習得を通じて、自己表現、コミュニケーション、友情の築き方、問題解決能力などを育みます。このプログラムは、家族や支援者が子どもの成長をサポートするための貴重なツールとなります。

SSTの例と教材

SST(ソーシャルスキルトレーニング)の方法

SST(ソーシャルスキルトレーニング)の方法は、一般的に以下の手順で進められます。ただし、個々の参加者の興味関心や課題に合わせて、柔軟にカスタマイズされることがあります。

教示

まずは、SSTの目的や取り組むスキルについて明確に説明します。なぜそのスキルが重要なのかや、具体的なポイントなどを分かりやすく伝えます。視覚的なツールや図や絵カードを使いながら、わかりやすく示すこともあります。

モデリング

教示の後に、教師が実演する「見本を見て学ぶ」ステップに移ります。問題解決や対話などの場面を設定し、一回目は「良くない例」、二回目は「良い例」として演じます。参加者は、ポイントや効果的な行動を観察しながら学びます。

リハーサル

モデリングを見た後は、参加者自身が実践する機会を与えます。ロールプレイやゲーム、ワークシートを使った練習などの方法があります。参加者同士の相互作用や先生との練習役など、状況に応じた効果的な手法を採用します。

フィードバック

リハーサルが終わったら、教師から参加者へフィードバックを行います。まずは、練習できたことを褒め、良かった点や改善点を具体的に伝えます。否定的な表現は避け、具体的な言葉でどこが良かったのかや次に向けての改善点を伝えることが重要です。

般化

SSTで学んだスキルを実際の日常生活に適用するための般化の段階です。参加者には、日常の課題を与えて試してもらい、次回のSSTまでに取り組んだ結果をフィードバックします。日常の場面での困難に直面することもありますが、次回のSSTでその解決策を見つけるというサイクルを繰り返しながら、ソーシャルスキルを磨いていきます。

SSTは柔軟なプログラムであり、参加者の個別のニーズや状況に合わせてアレンジされることもあります。このような方法を通じて、子どもたちは自信をつけ、より良い社会的な関係を築く力を育んでいくのです。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)の具体的な手法

SSTでは、子どもたちが楽しみながら参加できる手法が活用されています。以下に、具体的な手法をいくつか紹介します。

ロールプレイ

ロールプレイは、特定の場面を演じることで、課題解決やコミュニケーションスキルの向上を促す方法です。まずは先生が例を示し、その後、子どもたち自身が役になりきって演じます。実際の言葉や表現を使いながら、日常の場面でのスキルを身につけることができます。

整列ゲーム

子どもたちがグループに分かれて、特定のテーマに沿って並び替えをするゲームです。背の順や誕生日順など、さまざまなテーマで行われます。このゲームを通じて、テーマの理解やコミュニケーション能力の向上が期待されます。

これらの手法は、子どもたちが楽しみながら参加できる点が特徴です。他にも教材やワークシートを活用し、自己や他者を客観的にとらえるスキルを学ぶ方法もあります。SSTは子どもたちが自信をつけながら成長していくための貴重なプログラムとなります。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)に教材は必要?

SSTにおいて、教材の使用は必ずしも必要ではありません。SSTの重要なポイントは、個々の子どもの特性に合わせた方法を学ぶことです。子どもたちが困る場面や課題は個別で異なるため、教材を使うことである種の一律の練習になってしまう可能性もあります。そのため、子どもたち一人ひとりに合った方法を選ぶことが重要です。

ただし、多くの子どもたちが共通して困る場面や課題も存在します。そのような場合には、教材を補助的に使用することで、SSTの効果的な進行に役立つこともあります。また、一部の子どもたちは、自分の困りごとや感情をうまく言葉にできない場合もあります。このような場合にも、教材を使用してSSTを進めることがあります。

具体的な教材としては、本(ワークブック)、場面カード、感情チップなどがあります。

本(ワークブック)

SSTのワークブックや本は、さまざまな種類があります。場面や問題解決方法が書かれているものや、自己記入ができるタイプのもの、他の教材とセットになっているものなどがあります。これらの本には、SSTの目的や効果についても記載されており、家庭での取り組みにも適しています。

場面カード

場面カードは、一般的な困りごとがイラストや説明とともに書かれたカードです。例えば、「あいさつが返ってこない」「順番を守れない」「かんしゃくを起こしてしまう」などの場面が描かれています。これらのカードを使用することで、共通の理解を持ちながらSSTに取り組むことができます。

感情チップ

感情チップは、顔の表情や感情の名前(怒り、喜びなど)が書かれた丸いチップです。これを使用して、相手の感情を推測したり、「この場面でこの子はどんな感情になるだろう?」といった質問にチップで回答したりすることができます。特に表情を読み解くことや言葉にできない子どもたちにとって、有効な教材となります。

上記で紹介した教材は一例であり、種類や効果は商品によって異なる場合があります。SSTで教材を使用する際は、子どもの特性や年齢に合わせて選ぶことが大切です。

発達障害とSSTの関わり

医療の専門職が並んでいるイラスト

発達障害を持つ子どもたちにとって、ソーシャルスキルの習得はより重要です。彼らは他者との関係構築やコミュニケーションに困難を抱えることがありますが、SSTはその支援に役立ちます。SSTによって、子どもたちは自己認識や他者の感情の理解、友情の築き方など、生活において必要なスキルを身につけることができます。また、SSTは個別のニーズに合わせてカスタマイズすることも可能であり、発達障害の特性に応じたサポートが提供されます。

まとめ

子どもの発達に悩む家族や支援者の皆さんへ、SSTは明るい未来を築くための一助となります。このプログラムを通じて、子どもたちは自己表現やコミュニケーションスキルを発展させ、豊かな人間関係を築くことができます。一緒に力を合わせて、子どもたちが幸せな成長を遂げるためのサポートをしましょう。

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