日常生活において、精神疾患に悩む方々やその支援を必要とする方々がいます。しかし、精神疾患に対する医療費の負担や支援制度の理解が十分でないという課題があります。そこで今回は、精神通院医療について解説します。この制度は、精神疾患の治療を受けるために通院している方々に対して経済的な支援を提供し、心の健康をサポートするものです。具体的な対象や申請手続きについてもご紹介します。
精神通院医療は治療のため通院している人が対象
精神通院医療は、心の健康を支えるために通院している人を対象としています。通院による治療が必要な方々をサポートする制度です。
一方、育成医療や更生医療は、身体の障害を改善したり除去したりする医学的な治療で、確実な効果が期待できる身体障害者の方々が対象です。これらの医療の担当は市町村ですが、精神通院医療の場合は、都道府県や指定都市によって異なることがあります。
精神の病気の治療は、効果がどれだけ出ているかを判断するのが難しいことがあります。しかし、精神病にも医学的な治療が必要であり、継続的な治療は身体の障害と同じく困難なものです。それにもかかわらず、精神病の方々が医療費の給付を受けることができないのは不公平です。そこで、精神通院医療が導入されたのです。
精神通院医療の対象は、治療のために通院している人々です。つまり、入院して治療を受けている方は対象外です。また、通院による治療が必要なのは、精神病が発症していることを意味するわけではありません。再発予防のために通院している人々も対象になります。
対象となる疾患
精神通院医療の対象となる疾患は、精神保健福祉法の第5条に定められている11種類の精神疾患です。例えば、「病状性を含む器質性精神疾患」、「統合失調症」、「てんかん」、「精神遅滞」、「小児期・青年期に通常発症する行動・情緒の障害」などが該当します。
中でも、高額治療継続者と呼ばれるグループには、特定の疾患が含まれています。先ほどの例で挙げた「病状性を含む器質性精神疾患」、「統合失調症」、「てんかん」などが該当します。高額治療継続者とは、世帯の所得が一定額以上であり、治療費が公費負担の対象外になっている場合でも、治療にかかる高額な負担が継続する疾患を指します。このような疾患の方々には、公費による一部の負担が支援されます。高額治療継続者の対象疾患とは、その疾患が「重度かつ継続的」であると認められた場合に限られます。
精神通院医療の対象となる精神疾患
ICDコード | 精神疾患 |
---|---|
F0 | 病状性を含む噐質性精神障害 |
F1 | 精神作用物質使用による精神・行動の障害 |
F2 | 統合失調症、統合失調型障害・妄想性障害 |
F3 | 気分障害 |
G40 | てんかん |
F4 | 神経症性障害、ストレス関連障害・身体表現性障害 |
F5 | 生理的障害・身体的要因に関連した行動症候群 |
F6 | 成人の人格・行動の障害 |
F7 | 精神遅滞 |
F8 | 心理的発達の障害 |
F9 | 小児期・青年期に通常発症する行動・情緒の障害 |
支給認定手続き
精神通院医療の申請手続きは、まず申請者が所在する市町村に提出します。その後、市町村を通じて都道府県の精神保健福祉センターに申請が送られます。精神通院医療の実施主体は都道府県ですが、育成医療や更生医療と同じ手続きを取ることで、利用者の利便性を高めるためにこのような制度が採用されています。
精神保健福祉センターでは、申請内容を審査し、判定を行います。その結果、都道府県が支給認定を行います。支給認定がされた後、受領書が作成され、市町村を経由して申請者に交付されます。これにより、申請者は精神通院医療の給付を受けることができます。
申請先
市区町村の障がい福祉担当窓口
提出書類
自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書
添付書類
- 診断書
- 世帯(保険単位)を確認する書類
- 所得を確認できる書類
- マイナンバー及び本人確認書類 など
関連法令等
障害者総合支援法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第52条~75条
申請先 | 市区町村の障がい福祉担当窓口 |
提出書類 | 自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書 |
添付書類 | ・診断書 ・世帯(保険単位)を確認する書類 ・所得を確認できる書類 ・マイナンバー及び本人確認書類 など |
関連法令等 | 障害者総合支援法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第52条~75条 |
まとめ
精神通院医療は、治療のために通院している方々の負担を軽減し、精神疾患に悩む方々が心の安定を保つための支えとなる制度です。この制度を利用するためには、都道府県の精神保健福祉センターを経由して申請手続きを行う必要があります。申請に関する詳細な情報は、市町村役場や精神保健福祉センターで提供されていますので、積極的に活用しましょう。
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