発達障害児療育ポータルサイト 「dekkun.」

義務教育学校とは?気になるメリットとデメリットと知っておきたい4つのこと

author:dekkun
義務教育学校とは?気になるメリットとデメリットと知っておきたい4つのことと記載されたイラスト

最近、小学校や中学校の先生たちが非常に忙しい状況にあることが話題になっています。それを受けて、日本の教育省である文部科学省は2016年に義務教育学校の制度化を行いました。義務教育学校は、小学校と中学校の境界をなくし、新しい学校制度として9年間の一貫教育を提供するものです。この記事では、義務教育学校の制度化の背景や、従来の小中一貫校との違い、そして義務教育学校のメリットについて紹介します。

義務教育学校とは

義務教育学校は、日本の教育制度において、小学校から中学校までの義務教育を提供する公立または私立の学校のことを指します。日本の教育基本法により、国民全員が義務教育を受ける権利が保障されており、これに基づいて運営されています。義務教育学校は、子どもたちに基礎的な教養と社会的なルールを学ぶ場として重要な役割を果たしています。

小中一貫教育の一形態

義務教育学校は、小学校から中学校までの義務教育を9年間にわたって一貫して提供する新しい学校の仕組みです。この制度は2016年に導入され、以来、増加傾向にあります。2020年時点で全国には126校が開校しています。義務教育学校は、従来の小中一貫校とは異なり、9年間の修業年限と独自の教育課程が設けられています。教師についても特徴的で、小学校と中学校の免許状の併用が義務とされているため、教員免許を持っていれば誰でもなれるわけではありません。

義務教育学校のカリキュラム

義務教育学校のカリキュラムは以下のとおりです。

・前期課程:1~6年生 ・後期課程:7~9年生

前期課程では、小学校の学問の内容に基づいた教育が行われ、後期課程では中学校の内容を主に学びます。学年の呼び方も従来の小中一貫校とは異なり、中学1年生のことを7年生と呼称します。ただし、各義務教育学校によってカリキュラムの組み方には差があるため、入学前に9年間のカリキュラムを確認することが重要です。

義務教育学校の制度化:教育の質向上と社会性育成への一歩

義務教育学校が制度化された背景には、以下の5つの要因と追加の要因があります。

改正された教育基本法、学校教育法への対応教育目標が明確化され、小中一貫の教育の必要性が高まりました。
教育内容の量・質の充実化への対応学習要領改定で教育の充実が求められ、一貫した教育が質の向上につながると期待されました。
児童生徒の発達が早期化していることへの対応身体的・心理的な負担が増す「中1ギャップ」への対処策として、適切な支援が必要とされました。
学校に社会性育成の場としての機能が求められるようになったことへの対応家庭の変化により、学校での社会性育成が重要視され、多様な場面で教育が必要とされました。
教育格差の是正より多様な地域や学校で一貫した教育を提供し、教育格差の是正を図る目的があります。
学校運営の効率化小中一貫の一貫性により、学校運営を効率的に行うことができます。
教員の専門性向上教師たちが幅広い学年に携わることで教育力が高まります。

これらの要因を考慮し、義務教育学校の導入が実施されました。義務教育学校の制度化により、教育の質向上や教育格差の是正、児童生徒の適切な成長支援、学校における社会性育成の充実など、さまざまな側面での効果が期待されています。

義務教育学校と従来の小中一貫校の比較

義務教育学校と従来の小中一貫校の違いは、主に以下の点にあります。

学校制度と名称の違い

義務教育学校従来の小中一貫校
義務教育の制度の一環として、小学校と中学校の区切りをなくし、一貫して9年間の教育課程を提供する学校のことを指します。小学校から中学校までの教育を同じ学校で一貫して行う学校のことを指しますが、義務教育学校のように全国的な制度として統一されたものではなく、地域や学校によって異なる場合があります。

教員の免許状の違い

義務教育学校従来の小中一貫校
義務教育学校で教える教師は、小学校と中学校の免許状の併用が義務とされています。つまり、小学校教員免許と中学校教員免許の両方を持っている教員が採用されます。小中一貫校では、小学校と中学校の教師としてそれぞれの学校に所属する教員が配置されることが一般的です。免許状は各学校の学年に応じて所持している場合が多いですが、必ずしも両方を持っているわけではありません。

修業年限とカリキュラムの違い

義務教育学校従来の小中一貫校
義務教育学校では、小学校から中学校までの9年間を一貫した修業年限とし、前期課程(1~6年生)と後期課程(7~9年生)に区切って教育が行われます。:小中一貫校でも小学校から中学校までの教育は連続して行われますが、義務教育学校のように明確に前期課程と後期課程に分かれるとは限りません。

制度の普及状況の違い

義務教育学校従来の小中一貫校
義務教育学校は、2016年に制度化されてから増加しており、全国的に普及が進んでいますが、まだ一部の地域や学校に限られています。小中一貫校は従来から存在しており、地域や学校の特性に応じて設置されてきました。そのため、全国的な一貫性があるわけではなく、地域によって普及状況に差があります。

これらの違いにより、義務教育学校と従来の小中一貫校は教育内容や運営方法において異なる特性を持っています。一般的に、義務教育学校は教育の一貫性や効率性を強調し、従来の小中一貫校は地域や学校の個別性を重視する傾向があります。

義務教育学校のメリットとデメリット

【メリット】義務教育学校の4つの利点

柔軟なカリキュラムで児童生徒に寄り添った指導が可能

義務教育学校は、9年間の柔軟なカリキュラムを持ち、6-3制に囚われず、児童生徒の個別ニーズに合わせた指導が可能です。

中1ギャップの緩和や解消が期待できる

義務教育学校は、小中一貫校よりも環境の変化が少なく、児童生徒の心の安定に役立ち、中学転入時の学習ギャップの緩和につながります。

異学年交流が活発になり、成長に繋がる

異なる学年の児童生徒が同じ学校で学ぶことで、幅広い年齢層同士の交流が促進され、思いやりやリーダーシップなどの成長に繋がります。

教員同士が連携しやすく、個別指導が行いやすい

義務教育学校では、教員同士が連携しやすく、児童生徒の情報を共有しながら、個別のサポートが行いやすい環境が整います。

【デメリット】義務教育学校における4つの課題

人間関係が固定化しやすく、転校後の適応が課題

同じ学校で9年間過ごすため、人間関係が固定化し、新たな環境への適応が課題になる可能性があります。

高学年生徒の影響に配慮が必要

幅広い年齢層が同じ学校で学ぶため、高学年生徒の行動が低学年生徒に影響を及ぼすことに配慮が必要です。

多学年・多学級での児童生徒の管理に注意が必要

多学年・多学級の環境で、児童生徒の個別のニーズに目を届けることが難しいため、効果的な管理方法を構築する必要があります。

教員の免許取得に対する準備が重要

義務教育学校で指導するには、小学校・中学校両方の教員免許が必要であり、教員の資格を取得するための準備が必要です。

義務教育学校の導入は、児童生徒の学びや成長をサポートする良い機会ですが、課題にも注意を払いながら、より良い教育環境を構築するための取り組みが求められます。

メリットデメリット
柔軟なカリキュラムで児童生徒に寄り添った指導が可能人間関係が固定化しやすく、転校後の適応が課題
中1ギャップの緩和や解消が期待できる高学年生徒の影響に配慮が必要
異学年交流が活発になり、成長に繋がる多学年・多学級での児童生徒の管理に注意が必要
教員同士が連携しやすく、個別指導が行いやすい教員の免許取得に対する準備が重要

まとめ

義務教育学校と中高一貫校は、新しい展望をもたらす教育制度として注目されています。それぞれに独自の特徴とメリット・デメリットがありますが、教育の質向上や児童生徒の成長支援に寄与する一方で、課題も存在します。未来の教育には多様性を尊重し、個々の特性に合わせた環境づくりと教員の質の向上が重要です。義務教育学校と中高一貫校が、より良い教育の未来を拓く手段となることを願っています。

dekkun.に相談しよう

協力専門職の一部をご紹介 ・保育士 ・社会福祉士 ・精神保健福祉士 ・介護福祉士 ・児童指導員 ・音楽療法士 …

looks 人気の療育コラム

1
ADHDの大人の顔の特徴:見逃されがちなサインと理解を深める と記載されたイラスト

ADHDの大人の顔の特徴:見逃されがちなサインと理解を深める

ADHD(注意欠陥多動性障害)は、子供の発達障害としてよく知られていますが、実際には多くの大人もこの障害を抱え…

calendar_today
2
【ADHDの顔つきと行動の特徴】ADHDの子どもたちにみられる特徴についてと記載されたイラスト

【ADHDの顔つきと行動の特徴】ADHDの子どもたちにみられる特徴について

最近、発達障がいと診断される子どもたちが増えており、親たちは自分の子供がその中に含まれるのではないかと心配に駆…

calendar_today
3
【ダウン症の軽度と重度】知っておきたい違いと共通点と記載されたイラスト

【ダウン症の軽度と重度】知っておきたい違いと共通点

ダウン症は、私たちが多くの異なる形で出会うことがある遺伝的な状態です。この状態は、個々の人によってさまざまな特…

calendar_today
4
アスペルガー症候群とコミュニケーションの壁、怒られると黙る理由と対処法と記載されたイラスト

アスペルガー症候群とコミュニケーションの壁、怒られると黙る理由と対処法

アスペルガー症候群を持つ人々が怒られたときに黙ってしまう、その深層にある理由と、このような状況でどのように対応…

calendar_today
5
奇声を上げる2歳児は発達障がい?成長目安と声を出す原因をわかりやすく解説と記載されたイラスト

奇声を上げる2歳児は発達障がい?成長目安と声を出す原因をわかりやすく解説

2歳児が奇声を上げることは、多くの保護者にとって疑問や不安の種です。一体、奇声は発達障がいのサインなのでしょう…

calendar_today
6
「他人に興味がない」ASDの理解への一歩と記載されたイラスト

「他人に興味がない」ASDの理解への一歩

私たちの周りには、さまざまな思考や感情を持つ人がいます。中でも、「他人に興味がない」と感じる人もいるでしょう。…

calendar_today
7
赤ちゃんの手足バタバタは不機嫌だけじゃない!その理由とは?と記載されたイラスト

赤ちゃんの手足バタバタは不機嫌だけじゃない!その理由とは?

赤ちゃんの成長過程は、親にとって一つ一つが驚きと喜びに満ちたものです。特に、生後数か月の赤ちゃんが手足をバタバ…

calendar_today
8
【大人の愛着障害チェック】症状、困りごと、および克服のポイントと記載されたイラスト

【大人の愛着障害チェック】症状、困りごと、および克服のポイント

「愛着障害」という言葉はよく耳にするかもしれませんが、これが大人の日常生活にどのような影響を与えるのかは、意外…

calendar_today
9
一歳半の子の発達障害を見逃さない、初期サインと対応策の完全ガイドと記載されたイラスト

一歳半の子の発達障害を見逃さない、初期サインと対応策の完全ガイド

一歳半のお子様の発達段階と、発達障害の初期サインを識別する方法に焦点を当てています。発達障害の早期発見は、お子…

calendar_today
10
子離れできない親の特徴と影響:対処法とチェックリスト と記載されたイラスト

子離れできない親の特徴と影響:対処法とチェックリスト

親子の絆は特別なものであり、子どもが成長する過程でのサポートや愛情は不可欠です。しかし、時には子どもが自立する…

calendar_today