子供を授かる喜びと共に、出産には経済的な負担も伴います。そこで、出産に関連する費用を軽減するために、出産育児一時金の支給制度があります。この制度では、健康保険に加入している方々が出産した際に、一定の金額が支給されます。このコラムでは、出産育児一時金制度の概要や支援内容、利用までの流れについて詳しく解説します。
制度の概要
出産育児一時金制度は、健康保険法に基づいて設けられた制度で、出産に伴う経済的な負担を軽減するために一定の金額が支給されます。この制度は、健康保険や国民健康保険に加入している方々やその扶養者が出産した場合に適用されます。妊娠4か月以降の出産であれば、流産や死産の場合でも支給の対象となります。
支援の内容
支給額は、出産した子ども1人につき50万円(2023年度以降)です。ただし、在胎週数が22週に達していない場合など、産科医療補償制度の対象外の出産の場合は、支給額が48万8,000円(2023年度以降)となります。
利用までの流れ
出産育児一時金を利用するためには、以下の3つの方法があります。
①直接支払制度
この制度では、医療機関が代わりに出産育児一時金の請求と受け取りを行います。つまり、出産育児一時金は医療機関に直接支払われるため、出産時に全額の費用を窓口で支払う必要がありません。直接支払制度を利用するかどうかは、出産を行う施設を選ぶことになります。妊婦自身が直接支払制度を利用するかどうかを選ぶこともできます。直接支払制度を利用する場合は、医療機関で指定された用紙にその旨を記入し、提出します。
②受取代理制度
この制度では、妊婦が所属する健康保険組合などに出産育児一時金の請求を行い、その受け取りを出産する医療機関に委任することで、医療機関に直接支給される仕組みです。年間の分娩件数が100件以下の診療所や助産所、正常分娩に関連する収入の割合が50%以上の診療所や助産所は、受取代理制度を導入することが求められます。妊婦自身が受取代理制度を利用するかどうかを選択できます。受取代理制度を利用する場合は、健康保険組合などが指定する用紙に医療機関の署名などを記入してもらい、出産前に健康保険組合などに提出します。
③直接申請
①や②の方法を利用せず、直接申請する場合には、出産後に健康保険組合などに以下の書類を提出します。
- 出産を証明する書類(母子健康手帳など)
- 医療機関との合意書(直接支払制度を利用しない旨の合意書)
- 医療機関からの領収書
- 口座情報
- 申請者の本人確認書類
これらの書類を提出することで、出産育児一時金の申請手続きが行われます。
利用までの流れのまとめ
申請先
- (直接支払制度を利用する場合)各医療機関
- (受取代理制度を利用する場合)加入する保険者
- (上記を利用せず、直接申請する場合)加入する保険者
提出書類
- (直接支払制度を利用する場合)医療機関所定の書類
- (受取代理制度を利用する場合)保険者所定の書類で医療機関の署名等がなされたもの
- (上記を利用せず、直接申請する場合)保険者所定の出産育児一時金支給申請書
添付書類
(制度を利用せず、直接申請する場合)
- 出産したことが分かるもの(母子健康手帳等)
- 医療機関等と取り交わした合意書(直接支払を利用しないという内容のもの)
- 医療機関等からの領収書
- 口座情報
- 出産者の本人確認書類
関連法令等
健保101 • 114、健保合36、健保則86•97、国保58①、国公共済61、地公共済63、私立学校教職員共済法25、出産育児一時金等の支給申請及び支払方法について(平23・1・31保発0131第4)
申請先 | (直接支払制度を利用する場合)各医療機関 (受取代理制度を利用する場合)加入する保険者 (上記を利用せず、直接申請する場合)加入する保険者 |
提出書類 | (直接支払制度を利用する場合)医療機関所定の書類 (受取代理制度を利用する場合)保険者所定の書類で医療機関の署名等がなされたもの (上記を利用せず、直接申請する場合)保険者所定の出産育児一時金支給申請書 |
添付書類 | (制度を利用せず、直接申請する場合) ・出産したことが分かるもの(母子健康手帳等) ・医療機関等と取り交わした合意書(直接支払を利用しないという内容のもの) ・医療機関等からの領収書 ・口座情報 ・出産者の本人確認書類 |
関連法令等 | 健保101 • 114、健保合36、健保則86•97、国保58①、国公共済61、地公共済63、私立学校教職員共済法25、出産育児一時金等の支給申請及び支払方法について(平23・1・31保発0131第4) |
まとめ
出産育児一時金制度は、健康保険に加入している方々が出産に伴う経済的な負担を軽減するための支援制度です。出産後の費用や子育てにかかる経済的な負担を軽減することで、安心して子供を育てることができます。出産育児一時金の支給額や利用方法を把握し、必要な手続きを行いましょう。大切な子供の成長を支える一時金制度を活用して、安心して出産と育児に取り組みましょう。
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