特別障害者手当は、重度の障害を持つ方々が日常生活を送る上での負担を軽減するための重要な支援です。しかし、手当を受けるためにはどのような条件を満たす必要があるのか、具体的な手続き方法はどうなのか、不明点が多いかもしれません。このコラムでは、特別障害者手当を受給するための必要条件や手続きについて詳しく解説します。
特別障害者手当を受給するには?申請方法や必要書類を解説
特別障害者手当は、20歳以上で重度の身体または精神障害を持ち、常に特別な介護が必要な在宅生活者を対象としています。身体障害者手帳1、2級程度、または療育手帳1、2度程度の障害がある方が対象です。手帳がなくても申請可能です。自治体が医師の診断書に基づき認定し、厚生労働省の基準に準じます。
申請できない方
- 20歳未満
- 医療機関に3ヶ月以上入院している
- 施設に入所している(グループホームは除く)
特別障害者手当の金額、支払い時期
月額27,980円(令和5年4月現在)で、障害の重さによる差はなく一律です。支給は毎年2月、5月、8月、11月の年4回で、それぞれの前月分までの3ヶ月分がまとめて振り込まれます。申請は住んでいる市区町村の福祉担当窓口で行い、必要書類には医師の診断書などがあります。
受給中の手続き
毎年8月に現況届を提出し、障害の程度が変わる場合は1~5年の有期認定がされ、再認定期には診断書の再提出が必要です。
特別障害者手当申請に必要な書類
書類 | 内容 |
---|---|
医師による診断書 | 医師が作成する診断書 |
本人の戸籍謄本または抄本 | 本人の戸籍を証明する書類 |
世帯全員の住民票の写し | 世帯全員の住民票のコピー |
本人および配偶者・扶養義務者の住民税課税証明書 | 本人、配偶者、および扶養義務者の課税証明書 |
公的年金等を受けている方は年金証書の写し | 年金受給者は年金証書のコピー |
障害関連手帳の写し(所持者のみ) | 障害者手帳を持っている場合、そのコピー |
本人名義の通帳 | 本人名義の銀行通帳 |
印鑑(スタンプ式は不可) | 申請に必要な印鑑(スタンプ式は不可) |
対象者本人および配偶者のマイナンバーが確認できる書類 | 本人および配偶者のマイナンバー確認書類 |
これらの書類を揃えて、住んでいる市区町村の福祉担当窓口で申請を行ってください。事前に必要な書類や手続きについて確認することをおすすめします。
特別障害者手当の注意点と所得制限について
特別障害者手当には所得制限があり、前年の所得が一定額を超える場合、支給対象外となります。これは本人だけでなく、配偶者や扶養義務者の所得も考慮されます。
特別障害者手当の所得制限
扶養親族等の数 | 受給資格者本人の所得額 | 収入額の目安 | 配偶者及び扶養義務者の所得額 | 収入額の目安 |
---|---|---|---|---|
0 | 3,604,000円 | 5,180,000円 | 6,287,000円 | 8,319,000円 |
1 | 3,984,000円 | 5,656,000円 | 6,536,000円 | 8,586,000円 |
2 | 4,364,000円 | 6,132,000円 | 6,749,000円 | 8,799,000円 |
3 | 4,744,000円 | 6,604,000円 | 6,962,000円 | 9,012,000円 |
4 | 5,124,000円 | 7,027,000円 | 7,175,000円 | 9,225,000円 |
5 | 5,504,000円 | 7,449,000円 | 7,388,000円 | 9,438,000円 |
注意点
- 所得額は、地方税法に基づき、非課税所得以外の所得から医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた金額です。
- 収入額の目安は、給与所得者を例に給与所得控除額を加えて表示した金額です。
特別障害者手当の支給にはこのような所得制限があり、一定の所得を超えると支給対象外となります。詳しくは厚生労働省のガイドラインを参照してください。
障害年金と特別障害者手当の両方の受給について
障害年金と特別障害者手当の両方を受給することは可能ですが、障害年金が所得に算入されるため、合計所得が一定額を超えると手当が支給されない場合があります。詳細は厚生労働省のガイドラインを参考にしてください。
障害のある子どもが対象の手当とは?
障害のある子どもを育てる家庭が受けられる手当には、「特別児童扶養手当」と「障害児福祉手当」があります。以下にそれぞれの手当について詳しく説明します。
特別児童扶養手当
特別児童扶養手当は、身体障害者手帳1~3級、療育手帳A・B、愛の手帳1~3度程度の障害を持つ子どもを育てる家庭が対象です。手帳を持っていなくても日常生活が困難で常に介護が必要な場合も対象です。
支給額と支給時期
- 1級:月53,700円
- 2級:月35,760円
- 支給時期:4月、8月、11月の年3回で、それぞれ前月までの4ヶ月分が振り込まれます。
所得制限と現況届
所得制限があり、受給者またはその配偶者、扶養義務者の前年の所得が一定額を超えると支給されません。また、毎年8月に現況届を提出し、前年の所得と6月1日時点の養育状況を報告します。
障害児福祉手当
障害児福祉手当は、身体障害者手帳1~2級、療育手帳A・B、愛の手帳1~2度程度の障害を持つ子どもが対象です。手帳を持っていなくても同等の障害が認定される場合も対象です。
支給額と支給時期
- 支給額:月15,220円
- 支給時期:5月、8月、11月、2月にそれぞれ3ヶ月分ずつ振り込まれます。
支給制限
児童施設に入所している場合や、本人および扶養義務者の所得が一定以上の場合は支給されません。
特別児童扶養手当と障害児福祉手当の比較
項目 | 特別児童扶養手当 | 障害児福祉手当 |
---|---|---|
対象者 | 身体障害者手帳1~3級(一部4級)、療育手帳A・B、愛の手帳1~3度程度の子ども | 身体障害者手帳1~2級、療育手帳A・B、愛の手帳1~2度程度の子ども |
支給額 | 1級: 月53,700円<br>2級: 月35,760円 | 月15,220円 |
支給時期 | 4月、8月、11月の年3回(それぞれ前月までの4ヶ月分) | 5月、8月、11月、2月の年4回(それぞれ3ヶ月分) |
所得制限 | あり(受給者、配偶者、扶養義務者の前年所得が一定額を超えると支給されない) | あり(本人および扶養義務者の前年所得が一定額を超えると支給されない) |
手帳がない場合の対応 | 障害や疾病により日常生活が困難で、常に介護が必要な場合は対象 | 同程度の障害が認定される場合は対象 |
受給中の手続き | 毎年8月に現況届を提出(前年の所得と6月1日時点の養育状況を報告) | なし |
支給制限の対象 | 施設入所している場合 | 施設入所している場合 |
その他の手当について
障害のある子どもを育てる家庭が利用できる手当や支援制度はさまざまです。以下に、主要な手当とその詳細をまとめました。
児童扶養手当
児童扶養手当は、ひとり親家庭や親が障害を持つ家庭に対して支給される手当です。
児童扶養手当の支給額と支給時期
項目 | 内容 |
---|---|
支給額 | 1人目:月額43,160円(全額支給の場合)<br>2人目以降:加算あり |
支給時期 | 4月、8月、12月の年3回 |
対象者 | ひとり親家庭、または親が障害を持つ家庭 |
所得制限 | あり(受給者、配偶者、扶養義務者の前年所得が一定額を超えると支給されない) |
自治体独自の支援制度
多くの自治体では、独自の支援制度を設けており、住民が利用できる支援があります。具体的な内容は自治体によって異なるため、詳細はお住まいの自治体の福祉担当窓口に問い合わせることをお勧めします。
特別障害者手当の受給条件
特別障害者手当の受給条件を一目で確認できるようにまとめたものです。申請には住んでいる市区町村の福祉担当窓口で行い、必要書類を揃えて提出します。詳細については、各担当窓口にお問い合わせください。
項目 | 条件・内容 |
---|---|
対象年齢 | 20歳以上 |
対象者 | 重度の身体または精神障害を持つ在宅生活者 |
必要な手帳・程度 | 身体障害者手帳1~2級、療育手帳A・B、愛の手帳1~2度程度 |
手帳がない場合 | 日常生活が困難で常に特別な介護が必要な状態と認定される場合 |
所得制限 | 本人、配偶者、扶養義務者の前年の所得が一定額以下であること |
支給額 | 月額27,980円(令和5年4月現在、一律支給) |
支給時期 | 毎年2月、5月、8月、11月に前月分までの3ヶ月分がまとめて支給 |
申請書類 | – 医師の診断書<br>- 戸籍謄本または抄本<br>- 住民票の写し<br>- 課税証明書<br>- 年金証書の写し(該当者のみ)<br>- 障害関連手帳の写し(所持者のみ)<br>- 本人名義の通帳<br>- 印鑑<br>- マイナンバー確認書類 |
申請できない場合 | – 20歳未満<br>- 医療機関に3ヶ月以上継続して入院<br>- 施設に入所(グループホームは除く) |
まとめ
特別障害者手当は、適切なサポートを受けるために重要な制度です。この記事を参考にして、必要な手続きをしっかりと行い、適切な支援を受けられるようにしましょう。疑問がある場合は、地域の福祉事務所や相談窓口に問い合わせることをおすすめします。