WISC(ウィスク)検査は、子どもや青少年の知能を測定するための一般的な検査です。WISCは”Wechsler Intelligence Scale for Children”(ウェクスラー知能検査)の略称であり、デビッド・ウェクスラーによって開発されました。この検査は、6歳から16歳11か月までの子どもを対象に行われ、学校や臨床環境で使用されることがあります。
子どもの強みと課題を評価するためのWISC(ウィスク)検査
WISC(ウィスク)検査は、子どもの得意・不得意や発達状況を評価するための、ウェクスラー氏によって開発された知能検査です。この検査は、6歳から16歳11か月までの子どもを対象に行われます。主な目的は、子どもの認知能力を評価し、個々の強みや課題を把握することにあります。
WISC検査は、70年以上の歴史があり、世界20ヶ国以上で使用されているため、信頼性が高く確立された検査方法です。日本でも特に有名で、医療機関、教育支援センター、民間施設などで実施されています。
WISC検査の特徴
子どもの認知能力を把握する | WISC検査は、子どもたちの認知能力を包括的に評価することができます。言語理解力、記憶力、推理力などの領域において、どれが得意で、どれが苦手なのかを明確に把握することができます。 |
発達障がいの疑いを評価する | WISC検査は、発達障がいの疑いを持つ子どもたちに対しても用いられます。知能の偏りや特性を詳細に把握することで、適切なサポートや介入を行うための情報を提供します。 |
秀でた知能を評価する | 一方で、WISC検査は先天的に秀でた知能を持っている子どもたちに対しても用いられます。高い知能を持つ子どもたちの特性を理解し、適切な教育や課題を提供するための情報を得ることができます。 |
ウェスクラー式知能検査の対象年齢
WPPSI | 幼児向け(2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月) |
WISC | 児童向け(5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月) |
WAIS | 成人向け(16歳0ヶ月〜90歳11ヶ月) |
WISC(ウィスク)検査の検査内容
WISC(ウィスク)検査は、合計15種類の検査から成り立っています。これは10種類の「基本下位検査」と5種類の「補助下位検査(必要に応じて行う検査)」から構成されています。以下は各指標についての解説です
全検査IQ(FSIQ)
全検査IQは子どもの総合的な知能指数を表します。基本下位検査を除いた10種類の検査から算出されます。具体的には、後述する4つの指標得点から算出される数値です。
4つの指標得点
全検査IQとは別に、4つの指標得点も算出されます。それぞれ「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つです。これらの指標によって、基本下位検査・補助下位検査に該当する具体的な指標も異なります。
言語理解(VCI)
言語理解は言葉の理解力や思考力、推理力を表す数値です。相手の言っている内容を理解したり、言葉の裏にある思いを汲み取ったりする能力を測定します。基本下位検査の「類似」「単語」「理解」の3つ、および補助下位検査の「知識」「語の推理」の2つから算出される場合もあります。
知覚推理(PRI)
知覚推理は目で見た情報を理解し、考える能力を表すものです。視覚情報を把握したり、図形や絵を理解したりする力を測定します。基本下位検査の「積木模様」「絵の概念」「行列推理」の3つ、および補助下位検査の「絵の完成」の1つから算出されます。
ワーキングメモリー(WMI)
ワーキングメモリーは一時的に情報を記憶・処理する能力に関する数値です。黒板に書かれた内容を覚えてノートに書き写すような作業を評価します。基本下位検査の「数唱」「語音整列」の2つから算出される場合があります。補助下位検査が必要な場合は「算数」の結果も加味されます。
処理速度(PSI)
処理速度は視覚情報を処理する速度を表すもので、数字や記号を視覚情報として処理する能力を評価します。基本下位検査の「符号」と「記号探し」の2つから算出される場合があります。補助下位検査には「絵の抹消」が用いられます。
これらの指標と検査内容を組み合わせて、子どもの得意・不得意な領域や知能の特性を理解することができます。臨床心理士や公認心理師などの専門家が、1対1で子どもたちと検査を行います。結果の解釈は専門家によって行われ、適切なサポートや教育プランの立案に活用されます。
WISC(ウィスク)検査の検査結果の見方
WISC検査の結果は、検査を受けた子どもの認知能力に関する情報を提供します。結果は以下のように解釈されます。
- 知能指数(IQ):全体的な知能を示す指数で、平均値が100です。IQが100より高ければ平均より高い知能を持ち、100より低ければ平均より低い知能を持っていることを示します。
- 認知能力の領域別スコア:先述した言語理解力、情報処理速度、記憶力などの各領域ごとにスコアが付けられます。これにより、子どもの得意な領域や改善が必要な領域が明らかになります。
- 知的遅れや優れた才能の指摘:IQ値と領域別スコアの結果に基づいて、知的遅れや優れた才能の可能性が指摘される場合があります。ただし、これらの結果は他の情報と組み合わせて総合的な判断が必要です。
WISC(ウィスク)検査の結果は、合成得点、パーセンタイル、および信頼区間の3つの項目で示されます。以下にそれぞれの意味と解釈について詳しく説明します。
合成得点
合成得点は一般的に言われる「IQ」とほぼ同義の数値です。この得点は、評価点の平均を100として計算されます。そして、合成得点の上下のばらつき(偏差)を表します。通常、標準偏差は15とされています。多くの人は115〜85の範囲に収まります。
WISC(ウィスク)検査の合成得点の指標
130点以上 | 非常に高い知能レベル |
120〜129点 | 高い知能レベル |
110〜119点 | 平均より上の知能レベル |
90〜109点 | 平均の知能レベル |
80〜89点 | 平均より下の知能レベル |
70〜79点 | 低い知能レベル(境界知能) |
69以下 | 非常に低い知能レベル(知的障がい) |
なお、子どもの知能が何歳程度のレベルかを表す従来型IQは、田中ビネー知能検査で求めます。
パーセンタイル
パーセンタイルは、正規標準分布を基にして全体を100としたうち、後ろからどのくらいかを示すものです。つまり、パーセンタイルが大きいほど知能指数が高く、小さいほど知能指数があまり高くないことを表します。
例えば
例えば、パーセンタイル順位が50であれば、全体のちょうど真ん中に位置します。逆に、パーセンタイル順位が5や10であれば、自分より知能の高い人が約90%の範囲に含まれることを示し、あまり良くない結果となります。
信頼区間
信頼区間は、同じ検査を行った場合にどのくらい誤差が生じるかを推定したものです。検査結果はその日のコンディションなどによって影響を受けるため、どうしても誤差が生じることがあります。
例えば
例えば、信頼区間が90%で「60-70」となっている場合、同じ検査を10回行ったときに9回は結果が60〜70の範囲に収まることを意味します。信頼区間には90%や95%などがありますが、WISC検査では一般的に信頼区間90%が用いられます。
これらの結果項目をよく理解し、合成得点とパーセンタイルを通じて自分や子どもの知能レベルを把握することで、適切な教育やサポートプランを立てるための参考になるでしょう。信頼区間も結果の精度を理解する上で重要な情報です。ただし、検査結果の解釈は専門家に相談することが重要です。
WISC(ウィスク)検査の費用
WISC(ウィスク)検査の費用は、受ける機関や地域によって異なります。検査は医療機関、教育支援センター、心理相談室など、さまざまな機関で実施されることがあります。また、保険適用になるかどうかも異なる要因です。
以下は、おおまかなWISC検査の費用相場の一例ですが、実際の費用は状況によって変わるため、具体的な機関での料金を確認することが重要です。
WISC検査の費用相場
医療機関 | 保険適用の場合は約1,350円程度(実費負担がある場合もあります)。 |
教育支援センター | 一般的には無料で提供される場合がありますが、場所や利用条件によっては費用がかかることもあります。 |
カウンセリングルームや心理相談など民間施設 | 1万円から2万円程度の範囲で料金が設定されることがあります。ただし、機関によって料金が異なるため、確認が必要です。 |
保険適用になるかどうかは、検査を行う機関の資格や設備、受診者の条件によって異なります。一般的に、医療機関で行う場合は健康保険が適用される可能性が高く、一部負担となることがあります。一方、教育支援センターや公的機関で行う場合は、無料または低コストで提供されることが多いですが、受ける対象や制限がある場合もあります。
WISC検査を受ける際には、事前に検査を行う機関に問い合わせて料金や保険適用について確認することが大切です。
WISC(ウィスク)検査の問題内容は非公開?
WISC(ウィスク)検査の問題内容は非公開となっています。これは、検査の内容を知ってしまうと正確な結果が出しにくくなるためです。
WISC検査は、子どもの認知能力を包括的に評価するために用いられる検査であり、検査の信頼性を保つために問題の内容は秘匿されています。もし問題内容が公開されてしまうと、子どもたちが事前に問題に慣れてしまったり、事前に対策を立てたりしてしまう可能性があります。それによって、本来の知能や認知能力を正確に評価することが難しくなってしまいます。
そのため、WISC検査を受ける子どもや保護者は、検査の内容を知らない状態で受けることが推奨されています。また、WISC検査は子どもの発達を評価するための重要なツールであるため、検査結果に大きな影響を与える可能性のある「問題内容の公開」は行われません。検査を行う専門家は、子どもたちの知能や認知能力を客観的に評価し、適切なサポートや教育プランを立てるために、検査結果を慎重に解釈しています。
ギフテッドの指数ってなに?
ギフテッド(特に優れた才能や能力を持つとされる)の指数は、WISC(ウィスク)検査の結果によって示される知能指数によって判断されることがあります。ただし、ギフテッドの定義は文化や社会によって異なるため、あくまで一般的な目安として参考にする必要があります。
ギフテッドの子どもの検査指数
アメリカの研究によれば、ギフテッドの子どもの検査指数は下記の通りです(一例として)
言語理解 | 131 |
知覚推理 | 126 |
これらの指数が高い場合、一般的な知能に比べて優れた能力を持っている可能性が示唆されます。ただし、ギフテッドの定義は知能指数だけで決定されるものではなく、他の要素や特性も考慮されるべきです。ギフテッドは知的能力だけでなく、創造性、リーダーシップ、芸術的な才能などさまざまな側面を持つことがあります。
また、ギフテッドの判断には医学的な証明が難しく、WISC検査のIQ診断を用いることが一般的ですが、ギフテッドの判定は複雑な問題であり、慎重なアプローチが必要です。ギフテッドの特性は個人差が大きく、複数の要素を総合的に考慮することが重要です。
ギフテッドに関心を持つ場合は、専門家や教育機関に相談し、適切な評価やサポートを受けることが大切です。
まとめ
WISC(ウィスク)検査は子どもや青少年の認知能力を幅広く評価するための重要なツールです。検査結果を正しく解釈し、子どもの成長や学習に適したサポートを提供することが重要です。専門の心理学者や教育専門家が解釈とアドバイスを行うことで、子どもの発達に適した環境づくりができるでしょう。