自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)とは
自己愛性パーソナリティ障害は、自分自身を誇張したイメージで見ることが特徴で、注目や賞賛を求める一方で、批判や非難に対して過剰に傷つくことが多く、他人に対して共感性が低いことが特徴とされます。
パーソナリティ障害(人格障害)を詳しく解説
人格障害(パーソナリティ障害とも呼ばれます)とは、思考や感情、対人関係のパターンが長期的かつ広範囲にわたって異常で、自分自身や周囲の人々に大きな苦痛や支障をもたらす障害を指します。このような症状が見られる人々に対して、人格障害という用語が用いられます。米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版(DSM-5)によれば、10 種類のパーソナリティ障害が存在します。
パーソナリティの特性
パーソナリティとは、個人の思考や感情、対人関係の傾向が長期間にわたって安定していることを指します。つまり、人によっては気分が不安定な人や引きこもりがちな人、社交的な人など、個人差があるということです。
パーソナリティ障害
パーソナリティ障害とは、個人の性格が非常に固定化され、柔軟性に欠け、社会生活に支障をきたす場合に診断される障害です。この障害を抱える人や周りの人には、様々な苦痛が伴います。一般的には、問題があることに気付いたら、自分自身の反応パターンを改善しようとする人が多いですが、パーソナリティ障害の人は、パターンを変えることができません。そのため、適応できない行動パターンが継続するため、社会生活に適応しないことがあります。障害の重症度と持続期間は、個人差があります。
パーソナリティ障害は、通常は青年期後期または成人期早期に現れ、時間の経過とともに問題が軽減する場合がありますが、一部の人は一生涯にわたって重度の社会的・精神的な問題を抱え続けることがあります。また、パーソナリティ障害を患う人の多くには、うつ病、不安症、身体症状症、物質使用障害、食行動障害などの関連疾患が見られることがあり、これらの病気を同時に抱えると治療が難しくなります。ただし、加齢とともに軽減する傾向がある種類のパーソナリティ障害もあります。
自分自身を愛するということが未熟な状態にある
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人は、自分自身を未熟な状態で愛する傾向があるとされています。自己愛が未熟な状態とは、自分自身を受け入れることができず、自己批判や自己否定的な思考が強いことを指します。自己愛性パーソナリティ障害の人々は、その未熟さが「自己誇張」、「他者からの批判に対する過剰な反応」、「共感性の低さ」などの形で表れます。
たとえば、自分自身を過剰に評価する傾向があることが挙げられます。彼らは、自分自身が完璧であると信じており、その自己評価を維持するために、誇大な主張をしたり、自分自身を飾り立てたりすることがあります。
また、自己愛性パーソナリティ障害を持つ人は、他人からの批判や拒否に対して過剰に反応することがあります。彼らは、自分自身を傷つけられたと感じ、攻撃的な態度をとることがあります。さらに、他人の感情や欲求に対して理解を示さないことが多く、共感性が低いことが特徴です。
自己愛性パーソナリティ障害の人々は、このような傾向が柔軟性に欠け、持続的で、社会生活が困難になるほどの苦痛を引き起こす場合に、自己愛の未熟さが問題とされ、自己愛性パーソナリティ障害と判断されることがあります。
そもそも自己愛ってなに?
自己愛とは、自分自身を大切にすることや自信を持つことが大切だと思う気持ちのことです。これは、良い面もありますが、自己愛が過剰になると、自分のことしか考えず、他人のことを無視してしまうことがあります。そうなると、人との関係がうまくいかなくなったり、問題が起こることがあります。自己愛の程度は、人によって異なりますが、文化や環境によっても異なることがあるとされています。
自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)の特徴と2つのタイプ
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分自身を過大評価し、優越感や自尊心を高めるために特別な人と交わったり、優れた組織に関係を持ったり、他人を下に見たり、褒められたいと望む傾向があります。この障害の有病率は一般集団の6%程度で、男性によく見られます。この障害を持つ人には、うつ病、神経性やせ症、物質使用障害(特にコカイン)、演技性、境界性、または妄想性などの病気が同時にみられることがあります。
自己評価が大げさすぎる言動
剰な自慢や大げさな話、実際よりも自分をよく見せようとする言葉遣いなどが該当します。例えば、「自分は優秀で、何でもできる」といった自己評価が高すぎる言動や、「自分は偉大な人物だ」といった自己評価が大げさすぎる言動が該当します。
- 自分自身を過剰に褒める
- 自分自身を大げさにアピールする
- 自分自身を他人と比較する
- 自分自身を理解していない他の人々を見下す
有名人や権威のある人と知り合いであることで、自分自身が特別であると感じる
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、有名人や権威のある人とのつながりを持つことに自己の価値を見出し、自分自身が特別であると感じることがあります。そのため、その人物とのつながりを積極的にアピールすることがあります。例えば、有名人との交流の様子をSNSにアップしたり、その交流について周囲の人々に話題にすることがあります。彼らにとっては、自分自身が周りとは違う特別な存在であることを示すことが重要であり、そのような言動によって自分自身のアイデンティティを確認することができるのです。
他人からの批判や否定的な意見に過剰に反応する傾向がある
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、他人からの批判や否定的な意見に過剰に反応する傾向があることがあります。彼らにとって、自分自身が優れた存在であることが非常に重要であり、他人からの否定的な評価は、自尊心を傷つけるものとして受け止められるためです。そのため、彼らは自分自身を守るために、非常に過剰に反応してしまうことがあるのです。ときにはその憤り(いきどおり)を超えて、ひどく落ち込み、自殺を考えだすこともあります。
- 恥をかいたと感じる
- 屈辱感を抱いたりすると、怒り出すことがある
他者の気持ちや立場を理解することが苦手である傾向がある
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、自分自身が優れた存在であることに注目し、他者の立場や気持ちに目を向けることが少ないため、共感性に欠けると言われています。彼らは、自分自身が優れた存在であることに夢中になっているため、他者の感情や立場を理解することが難しいのです。
- 病気で入院している人のところへお見舞いに行っても、相手の状況を考えず自分自身の健康自慢をするような言動をとること
- 自分自身の成果や目標達成のために、友人を利用したり裏切ったりすること
- 自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、わがままかつ傲慢な性格のため、あまり自分の意見を言えない友達を従えて、あたかも自分が一番偉いかのように振る舞うこと
自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)には主に2つのタイプ
周囲の人々の気持ちや意見をあまり気にしない「自己中心的な行動をとることに気付かない」タイプ
このタイプの人々は、自分の欲求や願望を優先することが多く、自分の行動が周囲の人々に与える影響を考えることが少ないため、自己中心的な行動をとることがあります。ただ、その行動が自己愛性パーソナリティ障害とまで言及されるほど顕著であるわけではなく、「無自覚型」と表現されます。
- ・わがままな態度をとることがあり、周囲の人々から嫌われることが多い
- 自分自身に夢中になっているため、他人のことを全く考えないことがある
- 自分が注目されていることを好み、注目されないことに対して不満を持ちやすい
- 他者に対する言葉づかいが攻撃的な場合がある
- 他者の反応を気にせずに怒りを表現することがあり、周囲の人々を傷つけることもある
- 他者の気持ちを傷つけても平気なことがあります。
周囲の人々の気持ちや意見に過剰に反応し、自分自身の価値をそれによって決めつけてしまう「過敏な反応を示す」タイプ
このタイプの人々は、自分自身の価値や自尊心を周囲の人々からの評価に大きく依存しており、それによって自分自身を判断してしまう傾向があります。そのため、周囲の人々からの否定的な評価や批判に対して、過剰に反応してしまうことがあります。このように、自分自身の価値が周囲の人々からの評価に強く依存している傾向が、過敏型の特徴とされています。
- 内気で恥ずかしがり屋な傾向があるとは限りませんが、自分自身を表現することに自信がなく、人前での発言や行動を避けることがある
- 自分自身の意見や感情を出すことに抵抗があり、自分の本音を出すことができず、周囲の人々とのコミュニケーションに苦労したりすることも
- 他者からの批判や否定的な評価に対して過剰に反応し、傷つけられたと感じる。また、そのような状況が続くと、自分自身の自尊心や価値観に対する不安を強めることもある
- 注目の的になることを避ける傾向があります。周囲の人々から注目されることを嫌い、目立たずに生きることを好む
- 他者の反応に敏感であり、批判や否定的な評価に対して落ち込むことがあり、自分自身を客観的に評価することができず、周囲の人々からの評価に強く依存してしまいがち
- 他者からの評価を気にする傾向があり、自分自身の価値や自尊心を、周囲の人々からの評価に大きく依存しており、その評価によって自分自身を判断しやすい
自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)の診断
具体的な診断基準に基づく医師による評価
パーソナリティ障害の診断は、通常は米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版(DSM-5)に基づいて下されます。自己愛性パーソナリティ障害の診断を下すには、以下の5つ以上に示されるように、自分の価値についての過大評価、賞賛への欲求、共感性のなさが持続的に認められる必要があります。
『ICD-10』による診断基準を説明
ICD-10では以下から5項目以上が認められれば自己愛性パーソナリティ障害である可能性が高いという基準になっています。ICD-10については2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。
ICD-10による診断基準 | |
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1 | 誇大な自尊心をもっていること(すなわり,業績や才能を実際よりも過大視し,相応の実績がないのに自分が優れていると認められているはずだと思う) |
2 | 際限のない成功・能力・才気・美貌,あるいは理想の恋愛について,非現実的な考えにふけること |
3 | 自分は「特別」で比類がなく,他の特別な,あるいは地位の高い人々(または組織)だけが自分を理解でき,それらの人たちと付き合うべきだと信じている |
4 | 称賛を必要以上に要求する |
5 | 権利意識が強い.ありえないのに,自分に好都合な特別待遇を期待したり,または自分の要望がそのまま受け入れられることを期待する |
6 | 自分の目的を達成するために他人を利用する |
7 | 共感性の欠如.他人の感情や要求に気づいたり理解したりしようとしない |
8 | よく他人をねたむ,あるいは他人が自分をねたんでいると確信する |
9 | 横柄で傲慢なふるまいや態度 |
自己愛性パーソナリティ障害の原因とされる2つの仮説
自己愛性パーソナリティ障害の原因については、完全には解明されていないものの、現在は2つの仮説があるとされています。しかし、自己愛性パーソナリティ障害の原因については、完全には解明されていないため、研究が今後も進められていくことが必要となっています。
精神分析学者カーンバーグの説
精神分析学者カーンバーグの説によると、パーソナリティ障害の原因は、遺伝的、生物学的、社会心理学的、文化的な要因が絡み合っているとされます。
カーンバーグの説では、生まれつきの性格や気質的な特徴がパーソナリティの基盤となっており、その後の経験や環境がそれを形成していくと考えられています。つまり、遺伝子によって決定された性格的特徴が、社会環境や家族関係などの環境要因によって発展して、個々人のパーソナリティを形成していくということです。
例えば、生まれつきの気質的な特徴として、感受性や興奮性が高い人がいる一方、抑うつ的傾向がある人もいます。このような特徴が、その後の環境要因によって形成されたパーソナリティに影響を与えると考えられます。
しかし、カーンバーグの説には批判もあります。例えば、性格的な要因だけでなく、生物学的、社会心理学的、文化的な要因が絡み合っているため、単純に生まれつきの気質的な特徴だけで説明することはできないという指摘があります。
国際的な精神分析学会のコフートの説
国際的な精神分析学会のコフートの説は、生まれながらに持っている気質的な要因というよりも、環境的な要因がより重要であるという立場をとっています。
彼は、子どもが育つ環境がその後のパーソナリティに大きな影響を与えると主張しています。特に、子どもが安定した自己感覚を発達させるために必要な環境が提供されない場合、自己愛性パーソナリティ障害をはじめとするパーソナリティ障害が発生する可能性があると考えています。
この説では、遺伝的な要因よりも、養育環境や社会的影響などの外的要因が人格形成に影響を与えるとされています。環境的な要因としては、過剰な賞賛や批判、過保護などの過度な親の介入、または虐待や放置などの不適切な環境が挙げられます。
コフートの説によれば、子どもが健全なパーソナリティを形成するためには、自己の存在感や能力を自己肯定感として確立する必要があります。そのためには、親や周囲の人々からの適切な評価や支援が必要であるとされています。
自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害は見分けるのが難しい
自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害は、類似した症状を示すため、専門医でも見分けが難しいとされています。ただし、両者は本質的に異なる障害であり、異なる治療法が必要となることがあります。
境界性パーソナリティ障害って?
境界性パーソナリティ障害は、対人関係や自己像などの範囲において、激しい感情や考え方の変化が見られる障害です。不安や自己イメージの不安定さが発症の背景にあります。この不安定さから、一面的な評価を受け取って過剰に反応してしまうことや、同じ人からの評価にも関わらず、評価内容によって感情が激しく変化してしまうことがあります。また、信頼している相手に依存する一方で、自分が見捨てられるのではないかという不安を持っています。
境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害の違いとは
境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害は、自己中心的な傾向や対人関係の問題から情緒不安定を引き起こすなど、共通点が多いため、専門医でも区別が難しいとされています。ただし、境界性パーソナリティ障害は自己否定による情緒不安定を生じさせる傾向があり、自己愛性パーソナリティ障害は現実とのギャップによる自己防衛のための誇張的な言動を繰り返す傾向がある点で異なります。また、パーソナリティ障害は重複する共通の症状があるため、複数のパーソナリティ障害が併存することがあり、区別が難しい場合もあります。
両者の違いを正確に判断するには、診断基準に従い、専門医による詳細な精神状態評価が必要です。治療においては、自己愛性パーソナリティ障害には精神力動的精神療法や認知行動療法が、境界性パーソナリティ障害には認知行動療法や境界性人格障害専門の精神療法が効果的であることが報告されています。
自己愛性パーソナリティ障害は発達障害と合併している可能性
自己愛性パーソナリティ障害の原因について、親からの共感が不足していたことが関係している可能性があるという仮説があります。発達障害がある人は、社会関係や対人コミュニケーションに困難さが生じる場合があるため、親子の関係がうまくいかなかったり、コミュニケーションをとる機会が少なかったりすることがあります。これらの困難が積み重なることで、自己愛が十分に成熟することができず、自己愛性パーソナリティ障害に発展する可能性があると考えられています。
自閉症スペクトラム障害の特徴である「社会的な興味や対人関係において問題があること」や、「コミュニケーションに遅れがあること」、また注意欠陥多動性障害(ADHD)による「集中力や注意力に問題があること」など、これらの発達障害による特性が、自己愛性パーソナリティ障害の発症に影響する可能性があります。
自閉症スペクトラム症
自閉症スペクトラム障害の特徴である社会的な興味に問題があるため、同年代の友達を作ることが難しくなり、親からの共感や支援を受けにくくなる場合があります。また、コミュニケーションに遅れがあるため、自分の思いをうまく伝えられず、自分のことを理解してもらえない不安を感じることがあります。
- 社会的相互作用の困難さやコミュニケーションの遅れが見られる
- 興味・関心が狭い傾向がある
- 繰り返しルーティン的な行動が見られる
- 刺激の処理に過敏で、過剰に反応することがある
注意欠陥多動性障害(ADHD)
ADHDを持つ人は、社会関係や対人コミュニケーションに困難さが生じることがあります。これは、注意力が持続しないことや、興奮が続いているために相手の話を聞くことが難しいことが原因とされています。また、子どもの場合、学校生活においても問題を抱えやすく、周囲の人々から孤立してしまうこともあります。
以上のような背景から、ADHDを持つ人が自己愛性パーソナリティ障害になる可能性があるとされています。親子関係に加えて、学校生活や職場での人間関係においても孤立してしまうことが多く、自分を肯定するために自己防衛的な行動を取ってしまうことが考えられます。
- 注意散漫で注意を維持することが困難である
- 行動の自制力が弱く、衝動的に行動することがある
- 運動過多や落ち着きがない行動が目立つ
- 組織化されたタスクの実行が困難である
以上のような特徴が発達障害と自己愛性パーソナリティ障害との関係性において、自己愛性パーソナリティ障害の発症に影響を与える可能性があるとされています。
自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)の治療方法は?
自己愛性パーソナリティ障害の診断は専門医による精密な診察が必要であり、保険診療が適用されます。しかし、自己愛性パーソナリティ障害自体に対して直接的な治療が難しいとされています。そのため、自己愛性パーソナリティ障害によって引き起こされる二次的な障害、例えばうつ病や摂食障害などを治療することが多くなっています。この場合でも、保険診療が適用されます。
- 精神療法(心理療法)
- メンタライゼーションに基づく治療
- 集団精神療法
- 転移焦点化精神療法
- 認知行動療法
- 薬物療法 など
自己愛性パーソナリティ障害の一般的な治療方法は、他のパーソナリティ障害と同様に精神療法が主な方法です。精神力動的精神療法は、患者が抱える深層心理の葛藤に焦点を当てることで、効果的な治療法の一つです。
また、境界性パーソナリティ障害用に開発されたアプローチを改変して、自己愛性パーソナリティ障害の治療に応用することがあります。例えば、メンタライゼーションに基づく治療や転移焦点化精神療法が挙げられます。これらのアプローチは、患者が自分や他者との感情的な経験に焦点を当て、問題を解決することを支援します。
また、認知行動療法も有効な場合があります。患者の賞賛への欲求を利用して、精神療法家が患者の行動をコントロールすることで、改善が見られることがあります。
薬物療法は、強い不安や緊張、抑うつなど、程度の強い精神症状を一時的に和らげる目的で使われます。しかし、あくまで対症療法にすぎず、障害を根本から治すことはできません。
薬の種類 | 薬の働き、作用 |
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抗精神病薬 | 主にドパミン系の神経に作用し鎮静させます。自傷行為などの衝動性が強くみられる場合に使われることがあります。リスぺリドンなど |
抗うつ薬 | 気分の落ち込みが続くときなどに用いられます。主にセロトニンなどの神経伝達物質を調整するSSRIやSNRIなどを使用します SSRI:フルボキサミンマレイン酸塩(デプロメール)、パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル)など SNRI:ミルナシプラン塩酸 |
抗不安薬 | 不安や焦り、イライラ感が強い場合に使われるが、依存や乱用、衝動的な行動を増すおそれなどがあるのでSSRIのパロキセチン塩酸塩水和物に切り替えていくこともあります |
どこに相談したらいいの?
専門医でも難しいとされるパーソナリティ障害の診断について、ご自身やご家族に自己愛性パーソナリティ障害の疑いがある場合は、一人で悩まず専門機関に相談することが重要です。
受診先は精神科、神経科、心療内科などがあります。相談のつもりであっても、受診する必要があるため、本人を連れて行くようにしましょう。もし、「自己愛性パーソナリティ障害かもしれないけど、そこまで重要なことでもないように思える」という場合は、各都道府県や政令指定都市にある精神保健福祉センターや、市区町村の保健所・保健センターに相談することができます。家族が代わりに相談することもできます。
さらに、会社勤めや学校に通っている場合は、企業や学校のカウンセラーに相談することもおすすめです。彼らは、その人が所属する組織の内情にも通じているため、適切なアドバイスがもらえる可能性が高くなります。また、カウンセラーが連携している医療機関を紹介してもらえることもあります。
まとめ
自己愛性パーソナリティ障害は、人格障害の一つであり、自己中心的で自己愛的な行動や思考が見られる症状が特徴です。この障害の原因は、生まれつきの気質的な要因や、環境的な要因が複合的に影響して形成されるとされています。
自己愛性パーソナリティ障害の症状には、誇大な自己評価や特別な才能や能力を持つという自己イメージ、他人を低く評価すること、賞賛や承認を得るために他人を利用することなどがあります。また、自分と他人を感情的に経験する方法に問題があるため、共感性が低く、傲慢で横柄な態度を取ることもあります。
自己愛性パーソナリティ障害の治療には、精神療法が一般的に用いられます。具体的には、精神力動的精神療法や認知行動療法、メンタライゼーションに基づく治療などがあります。しかし、治療には時間がかかり、完治は難しいとされています。
自己愛性パーソナリティ障害の患者は、自己中心的であるため、周囲の人々との関係がうまくいかなくなることがあります。そのため、家族や友人、職場の同僚などが悩みを抱えることも多く、彼らの理解や支援が重要です。
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