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補装具等の支援について:自立と生活の質向上への道

author:dekkun
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障害を持つ人々が自立した生活を送るためには、補装具の利用が不可欠です。補装具は、身体の機能を補完・代替し、個々のニーズに合わせて製作される重要な支援具です。しかし、補装具の購入費用は高額な場合があり、経済的な負担が課題となることもあります。そこで、補装具の借受けに対する支援制度が存在します。このコラムでは、補装具の借受けとその支援について解説し、自立と生活の質向上を目指す障害者やその家族に役立つ情報をお届けします。

補装具等とは?必要な用具を理解しよう

補装具とはどんな用具が提供されるのか

補装具とは、障害者等の身体機能を補完・代替し、長期間にわたって使用される用具のことです。具体的な補装具には、義肢、装具、車いすなどがあります。障害の程度に応じて、車椅子や義肢などの使用が欠かせなくなることもあります。補装具は市町村に申請し、給付を受けることができます。申請後、市町村は補装具費の支給を審査し、利用者に補装具費支給券を交付します。

補装具の費用と請求方法

補装具の購入時には、利用者が補装具業者と契約を結びます。補装具費支給券を提示し、一部の負担金を支払います。後日、領収書と補装具費支給券を市町村に提出し、請求を行います。この時、償還払方式と呼ばれる方式が取られます。利用者は購入費用の一部を自己負担し、市町村からの給付金を受け取ることができます。一方、代理受領方式では、利用者が製作業者に対して委任状と補装具費支給券を渡し、製作業者が市町村に請求を行います。補装具の給付費は、利用者の所得によって一部自己負担がありますが、最大で1割と定められています。

補装具の要件

補装具として認められるためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。まず、補装具は障害個別に対応して設計・加工されており、身体の欠損もしくは損なわれた身体機能を補完・代替することが求められます。また、補装具は同一製品を継続して使用することが条件となり、日常生活や就労、就学に使用されるものとして承認されます。最後に、補装具の使用は医師などの診断書や意見書に基づいて行われる必要があります。

  1. 障害個別に対応して設計・加工されており、身体の欠損もしくは損なわれた身体機能を補完・代替するもの
  2. 同一製品を継続して使用するという条件があり、身体に装着して日常生活・就労・就学に使用するもの
  3. 医師などの診断書や意見書に基づいて使用されるもの

補装具の種類

義肢義手、義足
装具下肢、靴型、体幹、上肢
座位保持装置姿勢保持機能付車イス、姿勢保持機能付電動車イスなど
盲人安全杖
義眼
眼鏡矯正眼鏡、遮光眼鏡、コンタクトレンズ、弱視眼鏡
補聴器高度難聴用ポケット型、高度難聴用耳かけ型、重度難聴用ポケット型、重度難聴用耳かけ型、耳あな式 (レディメイド)、耳あな式(オーダーメイド)、骨導式ポケット型、骨導式眼鏡型
車イス普通型、リクライニング式普通型、ティルト式普通型、リクライニング・ティル
ト式普通型、手動リフト式普通型、前方大車輪型、リクライニング式前方大車輪型、片手駆動型、リクライニング式片手駆動型、レバー駆動型、手押し型、リクライニング式手押し型、ティルト式手押し型、リクライニング・ティルト式手押し型
電動車イス普通型時速4.5キロメートル、普通型時速6キロメートル、手動兼用型、リクライニング式普通型、電動リクライニング式普通型、電動リフト式普通型、電導ティルト式普通型、電導リクライニング・ティルト式普通型
座位保持イス
起立保持具
歩行器
頭部保持具
排便補助具
歩行補助つえ
重度障害者用意思伝達装置

補装具の借受けに対する支援

補装具の借受けとは

補装具は通常、利用者が購入することが前提とされますが、一部のケースでは補装具の借受けに対する費用の給付を受けることも可能です。以下のような状況に該当する場合、補装具の借受けに関連する費用の支援が行われます。

  • 身体の成長により、短期間で補装具の交換が必要な場合
  • 障害の進行により、補装具の使用期間が短く交換が必要な場合
  • 複数の補装具の比較が必要であり、借受けが適切であると認められる場合

補装具の借受けによる支援は、補装具の購入手続きと同様に行われます。借受け期間中、毎月補装具費が支給されます。借受け期間の初月には、借受け期間に相当する月数分の補装具費支給券が交付されます。通常、借受け期間は1年間ですが、市町村や身体障害者更生相談所の判断により、約1年ごとに判定・支給決定が行われ、最大で約3年間まで借受け期間を延長することができます。

借受け期間の終了時には、利用者は補装具を購入するか、借受けを継続するかを選択することができます。この際には再び市町村による支給決定の手続きが必要となり、身体障害者更生相談所の判定を受ける必要があります。

現在、借受けの対象となる補装具は、義肢・装具・座位保持装置の完成用部品、重度障害者用意思伝達装置、歩行器、座位保持椅子の4種類です。

まとめ

補装具の支援は、障害者等が自立した生活を送る上で欠かせない存在です。補装具の購入費用が高額な場合や交換の必要性がある場合には、借受け制度が利用できます。この制度を活用することで、補装具の経済的な負担を軽減し、より円滑な支援を受けることができます。補装具の借受けは、利用者の成長や障害の進行に合わせて柔軟に対応することができる仕組みです。ぜひ、補装具の支援について理解し、自立と生活の質向上に向けて一歩を踏み出しましょう。

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