児童指導員は、子どもたちの健全な育成をサポートする重要な職業です。2023年、この分野に関心を持つ方が増えていますが、具体的にどのような仕事なのでしょうか?このコラムでは、児童指導員としてのキャリアについて、任用資格から仕事内容、給料までを分かりやすく解説します。児童指導員を目指す方々や、この分野に興味を持つ方々にとって有益な情報を提供します。
児童指導員とは?その役割と仕事内容
児童指導員の主な役割
児童指導員は、児童福祉施設に通所または入所する子どもたちの健全な成長をサポートする専門職です。この職種には以下のような仕事が含まれます。
- 発達障害や知的障害のある子どもへの療育支援。
- 虐待やネグレクトの経験がある子どもへの生活指導。
児童指導員と保育士の違い
児童指導員と保育士は両方とも児童福祉に関わる資格ですが、就業可能な施設の範囲が異なります。具体的には、児童指導員は以下の施設で働けますが、保育士はこれに加えて保育所などで働くことができます。
施設 | 児童指導員 | 保育士 |
---|---|---|
保育所 | – | ● |
乳児院 ※1 | ● | ● |
児童養護施設 | ● | ● |
福祉型障害児入所施設 | ● | ● |
医療型障害児入所施設 | ● | ● |
福祉型児童発達支援センター | ● | ● |
医療型児童発達支援センター | ● | ● |
児童心理治療施設 | ● | ● |
母子生活支援施設 | △ ※2 | ● |
児童厚生施設 | △ ※3 | ● |
児童自立支援施設 | △ ※4 | ● |
児童指導員のキャリアパス
児童指導員として5年間勤務すると、児童発達支援管理責任者の資格を取得するための講習を受けることが可能です。
こちらも参考にどうぞ
児童指導員になる方法:資格と要件
児童指導員としての資格要件
児童指導員として働くためには、特定の資格や経験が必要です。以下の要件のいずれかに該当する必要があります。
社会福祉士・精神保健福祉士の資格保有
これらの資格を持っていれば、児童指導員として働けます。
専門的な大学・大学院の修了
社会福祉学、心理学、教育学、社会学を専門に学んだ大学または大学院を修了している場合。
教員免許状の保有
幼稚園、小学校、中学校などの教員免許を持っていれば資格が得られます。
児童福祉施設での実務経験
児童福祉施設で2年以上(中卒の場合は3年)の実務経験がある場合。
特殊な養成施設について
法律上は「都道府県知事の指定する養成施設」の卒業者も資格要件に含まれますが、これは非常に限られたケースです。
資格要件 | 説明 | 必要な証明書類 |
---|---|---|
社会福祉士・精神保健福祉士の資格 | 社会福祉士か精神保健福祉士の資格を持っている場合 | 資格証の写し |
大学・大学院での専門課程修了 | 社会福祉学、心理学、教育学、社会学を専攻した大学または大学院を修了 | 卒業証明書、または履修科目証明書 |
教員免許状の保有 | 幼稚園、小学校、中学校等の教員免許を持っている場合 | 免許状の写し |
児童福祉施設での実務経験 | 児童福祉施設で2年以上(中卒の場合は3年)の実務経験 | 実務経験証明書、卒業証明書 |
児童指導員の主な勤務先と役割
障害児通所施設(療育施設)
- 対象とサービス: 様々な障がいを持つ子どもたちが、年齢や障がいの種類に応じて療育を受けます。
- 児童発達支援: 小学校就学前の子どもたちへの基本動作指導、知識や技能の習得、集団生活への適応訓練。
- 放課後等デイサービス: 小学校〜高校に就学中の子どもたちへの生活能力向上訓練、創作活動、社会交流のサポート。
児童発達支援“センター”と“事業所”の違い
- センター: 地域の障害児支援の中核。他の専門機関との連携、保育所訪問支援も行います。
- 事業所: 地域内での身近な療育提供場所。利用者の通いやすさを重視し、多くの施設が設置されています。
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障害児入所施設
家庭での養育が困難な障がい児のための施設。日常生活の基本動作や知識、技能の習得をサポートします。
児童養護施設
虐待や死別などで保護者と暮らせない子どものための施設。生活習慣や学習習慣の指導、進学・就職支援を提供します。
勤務先 | 対象 | 役割 |
---|---|---|
障害児通所施設(療育施設) | 発達障害、知的障害、難聴、肢体不自由、重症心身障害などの障がい児 | 療育プランの作成と実施、家族や地域への支援提供 |
児童発達支援センター | 地域の障害児 | 地域での障害児支援プログラム策定、連携施設への訪問と支援 |
児童発達支援事業所 | 地域内の障害児 | 地域密着型療育、個別またはグループ活動支援 |
障害児入所施設 | 家庭での養育が困難な障害児 | 日常生活のサポート、教育・療育活動の実施 |
児童養護施設 | 虐待や死別などで保護者と暮らせない子ども | 生活指導、教育サポート、進学・就職準備支援 |
児童指導員の主な仕事内容
勤務先 | 主な業務内容 |
---|---|
障害児通所施設 | 療育の実施、計画作成のサポート、連携と記録、学習の補助、送迎、保護者対応など |
障害児入所施設 | 身の回りの世話、療育と学習支援、連携と記録、保護者対応 |
児童養護施設 | 保護者代行の役割、心理的ケア、進学・就労支援、連携と調整 |
児童指導員の働き方
児童指導員の一日の流れ(多機能型施設)
時間帯 | 内容 |
---|---|
朝 | 施設の開所準備、子どもたちの受け入れ |
午前中 | 個別または集団での療育活動 |
昼 | 昼食の準備と支援、休憩時間 |
午後 | 療育活動の続き、学習支援や創作活動など |
夕方 | 子どもたちの帰宅支援、施設の片付け |
夜 | 日報や記録の作成、翌日の準備 |
児童指導員の休日
施設の種類 | 休日の取り方 |
---|---|
通所施設 | 日曜固定休、シフト制で平日休日、土曜・祝日は開所、長期休暇も可能 |
入所施設 | シフト制で休日設定、長期休暇は有給休暇で取得、特別休暇あり |
児童指導員の給料概要(2023年11月現在)
パート・アルバイトの時給
- 平均: 1,190円
- 範囲: 1,112円~1,319円
正職員の月給
- 平均: 約24万円
- 範囲: 約21万円~約28万円
正職員の年収
- 平均: 約335万円
- 計算方法: 月給の平均 × 14ヶ月分(ボーナス含む)
地域別の傾向
- パート・アルバイトは首都圏が最も高い時給。
- 正職員は北関東が最も高い月給・年収。
児童指導員の将来性:発達障害児への支援の拡大
過去の認識
発達障害を持つ子どもは以前、「育てにくい子」と見なされがちでした。家庭内での問題とされ、外部からの支援が限られていたため、場合によっては虐待につながることも。
法改正の影響
2012年の児童福祉法改正により、発達障害を含む精神障害も支援対象に含めることが規定され、放課後等デイサービスが創設されました。
施設の増加
この法改正を受けて、2012年から2020年の間に児童発達支援(児発)や放課後等デイサービス(放デイ)などの障害児支援サービスを提供する事業所が4倍に増加。
児童指導員の需要の増加
- 現在の状況: 発達障害のある子どもやその家族への支援の需要が高まっています。
- 将来性: 発達障害児への支援を重視する現代の児童福祉の動向は、児童指導員の役割と需要をさらに拡大させています。
まとめ
児童指導員という職種は、子どもたちの未来に大きな影響を与える責任ある仕事です。今回のコラムを通じて、児童指導員としての職務内容、任用資格、勤務先の選択肢、そして給与についての理解が深まったことでしょう。この分野でのキャリアを考えている方にとって、この情報が役立つ一歩となることを願っています。