子どものいじめは深刻な問題であり、時には刑事罰を求める場合もあります。本記事では、いじめに関わる刑事罰の追求について、告訴状と被害届という手続きの役割に焦点を当てて解説します。いじめの被害者や関係者がどのような手続きを選ぶべきか、それぞれの手続きの意味と影響について考察してみましょう。
告訴とは
告訴とは、犯罪が行われたことを検察官や司法警察に申告し、法的な処罰を求める手続きのことです。未成年者が被害に遭った場合には、親権者も告訴することができます。
被害届とは
被害届とは、捜査機関に犯罪が起きたことを報告するための書類です。告訴が処罰を求める意思を示すのに対し、被害届には処罰を求める意思の記載は必要ありません。ただし、器物損壊罪や名誉毀損罪などの一部の犯罪では、告訴がなければ起訴できないとされています。
刑事処分と保護処分
14歳未満の未成年者が加害者の場合、告訴や被害届の提出があっても刑事罰は科されません。14歳以上の場合には、事件が受理されても直ちに刑事罰が科されるわけではなく、まずは家庭裁判所で保護処分の判断が行われます。
いじめに関する告訴状や被害届の提出
いじめに関しては、物を壊された場合やインターネットで名誉を傷つけられた場合など、特定の犯罪行為に該当する場合には告訴状の提出が必要です。一方、暴言や侮辱的な言葉で傷つけられた場合には、被害届の提出で十分です。
いじめに関して告訴状や被害届を提出する場合でも、検察庁では警察署に提出するように求められることが多く、警察署でも受理されるまでには困難が伴うことがあります。警察は、未成年者が加害者であるケースや、全ての犯罪行為に刑事処分が科されるわけではないこと、損害賠償が示談解決につながることもあることを考慮して、重要な証拠が存在する場合や重大な事件に限って告訴や被害届を受理する傾向があります。
対応までの流れ
提出先
検察庁又は警察署
提出書類
- 告訴状
- 被害届
添付書類
- 被害の事実を根拠付ける証拠書類
- いじめに関する録音、録画
- 陳述書
関連法令等
刑訴230・231、犯罪捜査規範61.刑41・230・231・232・261・264、少年2・3・24
提出先 | 検察庁又は警察署 |
提出書類 | ・告訴状 ・被害届 |
添付書類 | ・被害の事実を根拠付ける証拠書類 ・いじめに関する録音、録画 ・陳述書 |
関連法令等 | 刑訴230・231、犯罪捜査規範61.刑41・230・231・232・261・264、少年2・3・24 |
まとめ
子どものいじめに対して刑事罰を求める際、告訴状と被害届の提出が考えられます。告訴状は犯罪行為の訴えを行い、検察官が捜査を行って裁判所に事件を進める場合があります。一方、被害届は捜査機関に犯罪の発生事実を報告し、捜査機関が適切な対応を検討する場合があります。どちらの手続きを選ぶかは被害者や関係者の意思や具体的な状況によって異なります。刑事罰を求めることで加害者の責任を問い、正義を実現するために、適切な手続きを選ぶことが重要です。