近年、インターネット上での誹謗中傷が深刻な問題となっています。特に子どもたちや障害を持つ人々に対するいじめや差別的な発言は、深刻な影響を及ぼすことがあります。もし自分や自分の子どもが被害に遭った場合、削除を求める手段として「削除依頼」と「仮処分命令の申立て」があります。このコラムでは、インターネット上の誹謗中傷に対する対応方法として、子どものいじめや障害者差別に焦点を当て、削除依頼の手続きと仮処分命令の申立てについて詳しく解説します。
テレコムサービス協会の書式による削除依頼
テレコムサービス協会は、情報通信サービスの健全な発展と安全なネットワーク社会の実現を目指しています。その中で、「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」という規定があり、削除依頼に関する書式が公表されています。この書式を利用することで、大手サイトの管理者に対して削除依頼を行い、7日以内に発信者から反論がない場合は、権利侵害された投稿が削除されることになります。
削除請求仮処分命令について
削除依頼に応じてもらえない場合、裁判所に仮処分命令の申立てを行い、削除を求めることが考えられます。仮処分命令が認められれば、基本的には投稿記事が削除されます。申立ての際には、侵害された人格権を具体的に主張する必要があります。また、保全の必要性については、インターネット上の記事が広く社会に公開されていることを主張します。
保全手続きについて
仮処分命令の申立ては、一般的な民事保全手続と同様です。仮の地位を定める仮処分命令が発令されるまでの手続きが行われます。相手が外国法人の場合、EMS郵便による送達が可能で、期日が2〜3週間後に設定されることがあります。審尋では債権者と償務者の双方が意見を述べ、通常は1回の審尋で終了しますが、複数回行われる場合もあります。仮処分命令が認められる場合、担保金を納める必要があります。通常、30万円程度が担保金として求められます。担保金を納めると、仮処分命令が発令され、相手方に送達され、投稿記事が削除される流れとなります。
申立てまでの流れ
申立先
居住地を管轄する地方裁判所
提出書類
削除仮処分命令申立書
添付書類
- 権利侵害された投稿記事
- 権利侵害された者の陳述書
- 相手方が法人の場合、履歴事項全部証明書
関連法令等
民保23②
申立先 | 居住地を管轄する地方裁判所 |
提出書類 | 削除仮処分命令申立書 |
添付書類 | ・権利侵害された投稿記事 ・権利侵害された者の陳述書 ・相手方が法人の場合、履歴事項全部証明書 |
関連法令等 | 民保23② |
まとめ
インターネット上の誹謗中傷に対しては、削除依頼や仮処分命令の申立てを活用することで、子どものいじめや障害者差別に対する声を届けることができます。ただし、法的手続きは複雑で専門的な知識が必要な場合がありますので、弁護士の支援を受けることが重要です。子どもたちや障害を持つ人々が安心してインターネットを利用できる社会の実現に向けて、私たち一人一人が行動することが大切です。適切な手段を選び、断固とした対応を心がけましょう。